限度額適用認定証情報の提供同意画面を省略 オン資カードリーダー(2024年9月30日)
厚労省は9月30日の社保審医療保険部会で、顔認証付きカードリーダーの同意画面の改善について説明した。限度額適用認定証情報の提供同意画面の省略や、医療情報等の包括同意を行えるよう変更する。また、スマホに搭載されたマイナ保険証の情報を読み取る機能を来年リリース予定であることや、後期高齢者に資格確認書を職権交付する措置等について報告した。
9月30日に開催された社保審・医療保険部会では、オンライン資格確認で使用する顔認証付きカードリーダーの「同意画面」の改善策として、❶限度額適用認定証情報の提供同意画面の省略、❷薬剤情報等の提供に係る包括同意―について説明があり、10月7日にリリースされることが発表された。そのほかスマホ搭載マイナ保険証の対応については、令和7年春にリリースされる予定だ。また、暫定運用として、後期高齢者への資格確認書の職権交付についても説明した。
上記❶については、現在、オンライン資格確認(オン資)での高額療養費の自己負担上限額に係る「限度額適用認定証情報」について、顔認証付きカードリーダー画面で、限度額情報を「提供する」「提供しない」が選択できる仕組みとなっている。
今年2月29日の医療保険部会では、この限度額適用認定証情報について、①薬剤情報等と異なり要配慮個人情報ではないこと、②保険給付に係る費用の請求に必要な情報であり、電子資格確認としてその提供が法定されていること―を踏まえ、顔認証付きカードリーダーにおける限度額情報の同意画面を省略することとすると整理された。
これを受け、10月7日以降は、「限度額情報の提供確認画面」が表示されない(スキップされる)仕様に変更される。変更に伴い、「完了画面」から「限度額情報の提供確認画面」へ遷移するための選択肢(「高額療養費制度を利用する方はこちら」)が削除される。「特定疾病療養受療証提供を利用する」に設定している医療機関では、特定疾病療養受療証の所持者が顔認証付きカードリーダーを利用した場合に表示される「限度額情報・特定疾病療養受療証情報の提供確認画面」を「特定疾病療養受療証情報の提供確認画面」に変更し、出現箇所も変更されることとなる。
上記❷についても、2月29日の医療保険部会において、患者がマイナポータルで事前に設定した同意内容や当該医療機関を前回受診した際の同意内容をもとに、医療機関・薬局単位で、顔認証付きカードリーダー画面での包括的な同意設定を可能とすることが了承された。
具体的には、過去の医療情報等の提供に係る同意を一括で行える画面(同意方法の確認画面)が新たに追加される。これまで、「手術」「診療・お薬」「健診」の情報提供に係る同意を各情報の画面で取得していたが、「全て同意する」を選択した場合は、すべての情報に対して提供の同意を行なったことになり、後続の個別同意画面がスキップされる。
一方で、「個別に同意する」を選択した場合については、これまでと同様に各情報の同意画面が表示される仕組みだ。
スマホ搭載マイナ保険証対応は令和7年春を予定
スマホに搭載された電子証明書を活用したオンライン資格確認の対応については、令和7年春に実証事業をしたうえで、医療機関等での普及を目指す。AndroidおよびiPhone同時に令和7年春にリリースされる予定だ。
この場合、現行の顔認証付きカードリーダーに加えて、スマホ搭載された電子証明書をかざして読み取るための汎用カードリーダーを設置する必要がある。
具体的には、最初に顔認証付きカードリーダーでスマホによる手続きを選択し、スマホを資格確認端末に接続された汎用カードリーダーにかざして電子証明書を読み取る。その後、診療情報等の提供同意画面へと遷移する仕組みとなる。
令和7年夏の一斉更新までの間、後期高齢者に資格確認書を職権交付
現在、75歳に到達したときや、転居に伴う後期高齢者医療への加入に際して、資格取得届出の提出が省略されている。12月2日以降にこれらの事情が生じた場合、後期高齢者と保険者との直接の接点がなく、届出の機会を通じて保険者が資格確認書の申請勧奨などを行うことが困難となる。
そのため、後期高齢者が十分な認識のないまま、現行の保険証が失効し、マイナ保険証のみになるケースがある。その事態を解決するため、暫定的な運用として、令和7年夏の一斉更新までの間、現行の保険証が失効する後期高齢者に資格確認書を職権交付することとされた。
また、資格確認書等を送付する際には、マイナ保険証の使い方やメリット、カードの安全性等を周知することとしている。