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電子カルテ情報共有サービスのモデル事業、令和7年1月以降順次開始予定――利活用検討会(2024年9月12日)

厚労省の「健康・医療・介護情報利活用検討会」(利活用検討会)は9月12日、4つのワーキンググループ(WG)から検討状況の報告を受けた。電子カルテ情報共有サービスのモデル事業が9地域で実施されることなどが報告された。

利活用検討会に設けられているWGは「医療等情報利活用WG」「医療等情報の二次利用に関するWG」「電子処方箋等検討WG」「介護情報利活用WG」の4つ。

医療等情報利活用WGからは、今までの検討状況として、電子カルテ情報共有サービスの概要、3文書6情報の概要、運用開始までのロードマップが示された。電子カルテ情報共有サービスの令和7年度中の本番稼働に向け、令和7年1月以降、モデル事業を順次開始する予定であることが報告された。なお、モデル事業の終了時期は検討中としている。

現在開発中の電子カルテ情報共有サービスには、❶診療情報提供書を電子で共有できる「診療情報提供書送付サービス」、❷各種の健診結果を医療保険者、全国の医療機関等および患者本人等が閲覧できる「健診結果報告書閲覧サービス」、❸患者の傷病名や薬剤アレルギー等の6情報を全国の医療機関等や患者本人等が閲覧できる「6情報閲覧サービス」、❹医師のアドバイス等を含む患者サマリーを患者本人等が閲覧できる「患者サマリー閲覧サービス」がある。

それぞれの文書等は、標準規格であるFHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)形式に変換され、6情報などは電子カルテ情報共有サービスを経由して、オンライン資格確認等システムに連携され、全国の医療機関等やマイナポータルを介して患者が閲覧可能となる。

3文書・6情報:「健康診断結果報告書」「診療情報提供書」「退院時サマリー」の3文書と「傷病名」「感染症」「薬剤アレルギー等」「その他アレルギー等」「検査」「処方」の6情報

モデル事業を9地域で実施予定

電子カルテ情報共有サービスのモデル事業は、医療DXにて想定する情報共有の有用性を検証するため、数か所の地域での実施を想定し、各地域では、中核となる病院に加え、中核病院と連携する複数の病院・診療所の組合せが想定されている。

現時点で、①山形県の日本海総合病院を中心とした地域、②愛知県の藤田医科大学病院を中心とした地域、③茨城県の水戸済生会総合病院を中心とした地域、④静岡県の浜松医科大学医学部附属病院を中心として、浜松医療センター、中東遠総合医療センター、藤枝市立総合病院(調整中)の地域、⑤千葉県の千葉大学医学部附属病院を中心とした地域、⑥奈良県の南奈良総合医療センターを中心とした地域、⑦三重県の三重大学医学部附属病院を中心とした地域、⑧北海道の函館地区(調整中)、⑨石川県の加賀市(デジタル田園健康特区)(調整中)の9地域が示された。

サイバーセキュリティ対策、BCP、医療情報システムの契約における確認表についても報告

令和5年4月から、医療法に基づく医療機関に対する立入検査に、サイバーセキュリティ対策の項目が位置付けられ、立入検査の際に確認する項目として、「医療機関におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト」「薬局におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト」 が示されている。

令和5年度については、チェックリストの一部項目について、令和6年度に確認するものを参考項目として位置づけていたが、令和6年度においては、すべての項目を確認することとされた。なお、チェックリストのマニュアルとして、「令和6年度版医療機関におけるサイバーセキュリティ対策チェックリストマニュアル~医療機関・事業者向け~」 および「令和6年度版薬局におけるサイバーセキュリティ対策チェックリストマニュアル~薬局・事業者向け~」 が公表されている。

また、「サイバー攻撃を想定した事業継続計画(BCP)策定のための確認表」、確認表の解説を加えた「サイバー攻撃を想定したBCP策定の確認表のための手引き」および「サイバー攻撃を想定したBCPのひな形」が作成されていることも報告された。

そのほか、近年の医療機関における情報セキュリティインシデント発生時の課題として、医療情報システムに関する契約の際に、医療機関と医療情報システム・サービス事業者との役割分担等が適切に協議されていなかったことなどを踏まえ、総務省・経済産業省・厚生労働省において「医療情報システムの契約における当事者間の役割分担等に関する確認表」が取りまとめられたことも報告された。

関連書籍

オンライン資格確認、電子処方箋、マイナ保険証、医療DX工程表等については、社会保険研究所発行『医療DXの今後に向けて 電子処方箋・オンライン資格確認Q&A(令和5年4月版)』が詳しい。

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