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発熱外来等「通常とは異なる動線で資格確認を行う」施設・経過措置対象施設へのオン資導入に係る財政支援を示す――医療保険部会(2024年9月30日)

厚労省の社会保障審議会医療保険部会は9月30日、働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方、マイナ保険証の利用促進等について議論した。オンライン資格確認については、通常の受付窓口を通らない場合でも「居宅同意取得型」が利用可能となることが報告された。また、経過措置対象施設が「資格確認限定型」を任意で導入できるようになる。これらの導入に対して財政支援が行われ、申請および運用の開始時期は11月予定となっている。

9月30日に開催された医療保険部会では、顔認証付きカードリーダーの「同意画面」の改善策、スマホ搭載マイナ保険証の対応、後期高齢者への資格確認書の職権交付以外に、❶通常の受付窓口とは異なる動線で資格確認を行う場合の「居宅同意取得型」オンライン資格確認の活用、❷経過措置対象施設における「資格確認限定型」オンライン資格確認の導入―における概要および財政支援についても示された。

上記❶については、例えば、⑴発熱や風邪症状のある患者に対して、発熱外来等の通常とは異なる動線で受付や診療を行う場合、⑵緊急入院により受付窓口で資格確認を行わずに入院した場合、⑶長期入院時に毎月の資格確認を病室において実施する場合、⑷車内に患者がいる状態で診療や服薬指導等を実施するドライブスルー方式の運用を行っている場合など、「通常の受付窓口とは異なる動線で資格確認を行う必要がある場合」には、訪問診療等で使用される「居宅同意取得型」を活用してオンライン資格確認を行うことが可能である。また、訪問診療等と同様に医療機関等の端末を活用するほか、オンライン診療での受診の際には、患者本人の端末で同意登録や本人認証を行っていることも踏まえ、患者の端末も利用することが可能となる。

医療機関等の通常の受付窓口とは異なる動線における 居宅同意取得型の活用イメージ

「通常の受付窓口とは異なる動線で資格確認を行う」施設に対する補助金は、訪問診療等と同額

 「通常の受付窓口とは異なる動線で資格確認を行う」医療機関・薬局に対する財政支援は、社会保障・税番号制度システム整備費等補助金から支出され、金額等はすでに補助対象となっている訪問診療等と同様となっている。 具体的には、①病院:補助上限額41.1万円(補助率1/2)、②大型チェーン薬局:補助上限額8.5万円(補助率1/2)、③診療所・薬局(②を除く):補助上限額12.8万円(補助率3/4)となっている。なお、事業額上限は、モバイル端末:4.1万円、レセプトコンピュータの改修:①病院78.1万円、②・③診療所・薬局13万円である。 

補助金申請については、医療機関等向け総合ポータルサイトから行うこととなるが、申請開始および運用開始時期は11月予定となっている。なお、補助金申請の締め切りは、現時点では令和7年1月15日まで。 

オン資の経過措置対象施設は、任意で「資格確認限定型」を導入可能

令和5年4月より、オンライン資格確認の導入が原則義務化されたが、やむを得ない事情がある医療機関・薬局については、以下の期限付きの経過措置が設けられている。 

令和6年12月2日以降、経過措置対象施設においては、マイナ保険証を持参した患者の資格確認ができない事態が想定される。それを防ぐため、経過措置が適用されている間の「時限的な措置」として、義務化対象外施設と同様に、簡素な資格確認の仕組みである「資格確認限定型」のオンライン資格確認の導入を「任意」で可能とすることが了承された。
対象となるのは、12月2日時点でオンライン資格確認を導入できない可能性のある上表の経過措置⑵⑷⑹が適用されている施設となる。 

オン資の経過措置対象施設に対する補助金は、義務化対象外施設と同額

オンライン資格確認の経過措置対象施設に対する財政支援は、社会保障・税番号制度システム整備費等補助金から支出され、金額等はすでに補助対象となっている義務化対象外施設等と同様となっている。

具体的には、基準とする事業額4.1万円を上限に、3/4が補助される。補助内容は、資格確認限定型(簡素な資格確認の仕組み)のオンライン資格確認に必要なPC等に接続する汎用カードリーダー、タブレット・スマホ等のモバイル端末の機器の導入支援となる。なお、タブレット・スマホ等のモバイル端末では、汎用カードリーダーがなくても、マイナンバーカードの読み取りが可能である。

補助金申請については、医療機関等向け総合ポータルサイトから行うこととなるが、申請開始時期は11月、運用開始時期は12月2日の予定となっている。なお、補助金申請の締め切りは、現時点では令和7年1月15日まで。

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