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10月からの医療DX推進体制整備加算で疑義解釈 利用率要件を満たさなくなった場合の届出は不要(2024年9月27日)

厚労省は9月27日、令和6年度診療報酬改定に関する2本の事務連絡を発出し、医療DX推進体制整備加算等の取扱いについて疑義解釈を示した。マイナ保険証利用率要件を満たさなくなった場合、施設基準の辞退の届出は要さない。また、看護補助体制充実加算について、精神保健福祉法に基づいて身体的拘束を行った場合、身体的拘束実施日に該当しない。

マイナ保険証利用率要件を満たさなくなった場合でも、施設基準の辞退届出は不要

厚労省保険局医療課は9月27日付けで「医療情報取得加算及び医療DX推進体制整備加算の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その2)(医療DX・QAその2)を発出し、10月1日から見直された医療DX推進体制整備加算に係る疑義解釈を示した。

医療DX・QAその2」では、マイナ保険証利用率要件を満たさなくなった場合について、施設基準の辞退の届出を行う必要がないことを明確化した。この取扱いは、歯科・調剤でも同様である。

 「医療情報取得加算及び医療DX推進体制整備加算の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和6年9月3日事務連絡)の別添1の問1では、「すでに医療DX推進体制整備加算の施設基準を届け出ている保険医療機関は、届出直しは不要であること。ただし、すでに施設基準を届け出た保険医療機関において、マイナ保険証利用率要件が基準に満たない場合には、10月1日以降、医療DX推進体制整備加算を算定できないこと」が示されていた。

3段階の区分が10月からスタート

令和6年度診療報酬改定で新設された医療DX推進体制整備加算は、10月1日からマイナ保険証利用率の実績に応じて3段階に分けられる(下表)。

各加算1および加算2の施設基準には「マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じる体制を有していること」が追加された。いずれも7月17日の中医協総会で諮問・答申がなされ、8月20日に告示・通知の改正(診療報酬関連情報ナビ参照)が行われている。

精神保健福祉法に基づいて実施した場合は、看護補助体制充実加算における「身体的拘束実施日」に該当しない

厚労省は同じく9月27日、「疑義解釈資料の送付について(その12)(QAその12)を発出し、「看護補助体制充実加算」「有床診療所在宅患者支援病床初期加算」「レパーサ皮下注」に係る疑義解釈を示した。

QAその12」の問1では、A103精神病棟入院基本料またはA104特定機能病院入院基本料(精神病棟)算定病棟に入院する患者に対して、身体的拘束を行った日について、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の規定に基づいて身体的拘束を実施した場合は、A214看護補助加算「注4」の看護補助体制充実加算における身体的拘束を実施した日には該当しないことが明示された。

なお、A214看護補助加算「注4」のただし書の規定により、「身体的拘束を実施した日は、看護補助体制充実加算2の例により所定点数に加算する」については、令和7年6月1日から適用される。この場合において、看護補助体制充実加算2の届出は不要とされている。

有床診療所在宅患者支援病床初期加算の対象患者に係る「意思決定に対する支援」とは?

A108有床診療所入院基本料「注3」に規定する有床診療所在宅患者支援病床初期加算の算定対象となる患者について、「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和6年3月28日事務連絡)の別添1の問36では、「算定の対象は、例えば、予後が数日から長くとも2~3ヶ月と予測が出来る場合、慢性疾患の急性増悪を繰り返し予後不良に陥る場合、脳血管疾患の後遺症や老衰など数ヶ月から数年にかけ死を迎える場合など、患者の年齢や疾患に関わらず、意思決定に対する支援が必要な患者であって、医師の医学的判断によるもの」とされている。

QAその12」の問2では、ここでいう「意思決定に対する支援」は、患者の年齢や疾患に応じて行われるものであり、必ずしも人生の最終段階における医療・ケアの決定に関する意思決定の支援に限られるものではないとした。患者の年齢や疾患に関わらず、医師の医学的判断により、入院時に治療方針に関する患者又はその家族等の意思決定に対する支援が必要な患者に対して支援を行うことで算定できる。

レパーサ皮下注420mgオートミニドーザーの供給停止時の対応を示す

ヒト抗PCSK9モノクローナル抗体製剤(一般名:エボロクマブ(遺伝子組換え))のレパーサ皮下注420mgオートミニドーザーが供給停止となる予定。その場合の対応として、レパーサ皮下注420mgの1回投与を行う場合については、レパーサ皮下注140mgペン3本として差し支えないとする取扱いが「QAその12」の問3で示された。

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