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高額療養費の引き上げ試算、10%で保険料▲3500億円(2024年12月5日)

社会保障審議会・医療保険部会は12月5日、高額療養費制度の見直しについて議論した。厚労省は、高額療養費の自己負担限度額を一律5~15%引き上げた場合の試算を提示。10%引き上げた場合、年間の保険料は▲3500億円、給付費は▲5000億円、実効給率の低下幅は▲0.59%の効果がみられた。

写真:医療保険制度改革等を議論する社会保障審議会医療保険部会=12月5日

試算では、住民税非課税区分を除く各所得区分を細分化した上で、機械的に自己負担限度額を5%、7.5%、10%、12.5%、15%に引き上げた場合の5パターンの推計を示した(下図)。

機械的なモデル試算の結果

保険料は年間で▲2600億~▲4300億円となる。加入者1人当たりの保険料は10%引き上げのケースで▲900~▲4600円となり、後期高齢者支援金の負担減も生じる現役世代に大きな軽減効果が出るという。

給付費は▲3600億~▲6200億円で、実効給付率の低下幅は▲0.43~▲0.74%となる。実効給付率は、平成27年度84.84%から令和3年度85.46%と6年間で0.62%増加している(下図右下)。

高額療養費と実効給付率の推移

「実効給付率の伸びをカバーできる水準に」

健保連の佐野雅宏委員は自己負担限度額の5パターンの推計に対し、「実効給付率は前回の見直しから6年間で0.62%伸びている。今後も伸びが予想されるため、実効給付率の伸びをカバーできる水準にすべきだ」と要望した。

「受診行動の変化で病態の悪化を招かないような対応を」

日本医師会の城守国斗委員は、「現役世代の負担軽減は重要だが、高齢者の負担のあり方をどうするかといった問題もある。そのバランスをどうとるかという視点が重要になる。今回の制度の見直しで患者の受診行動が大きく変わることも考えられるため、病態の悪化を招かないような丁寧な対応をお願いしたい」と述べた。あわせて外来特例の廃止については反対を表明した。

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