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新しい年金時代

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#香取照幸

謎の新興国アゼルバイジャンから|#64 世界の民主主義は後退しているのか⑶【最終回】

みなさんこんにちは。 今回は「民主主義インデックス」の3回目。最終回です。 日本の民主主義はどう評価されているかさて。前回の連載で、日本の民主主義は「欠陥のある民主主義」に分類されている、というお話をしました。 日本のスコアがどうなっているのか、どのスコアが低いことが全体の評価に影響しているのか、細かく見てみたいと思います。 まず、主要欧米諸国(アメリカを除きすべて「完全な民主主義」です)と日本のスコアを、個別カテゴリーごとに比較してみましょう。 一見して明らかなように

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#63 世界の民主主義は後退しているのか⑵

(承前) みなさんこんにちは。 前回に引き続いて「民主主義インデックス」の解説をします。 その前にちょっとだけ近況報告。 年明け早々、ATVというアゼルバイジャンのテレビ局から取材の申し込みがありました。 バクー駐在の各国大使の趣味を紹介する、という10分ほどのインタビュー番組で、テレフォンショッキングよろしく前回登場した大使が次の大使を紹介していく、という趣向の番組です。 私の前はギリシャ大使。彼の趣味は絵画です。画集も出版していて、ここバクーでも何回か個展を開いて

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#62 世界の民主主義は後退しているのか⑴

みなさんこんにちは。 今年の最初の掲載、「新年雑感」の冒頭で、2019年は「私の言葉でいえば「民主主義の強さ」が問われる事件が数多く起こりました」と書きました。 日本は「自由と民主主義という価値観を共有する西側諸国の一員」とみんな思っています(もちろん私もそう思っています)。安倍総理もたびたび公の場でそのように発言しています。 他方で、この連載で何回も紹介しているように、国家の統治のあり方として、「議会や選挙に煩わされる必要のない強い指導者による統治の方が望ましい」と考え

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#61 医療保険における「保険者機能」

みなさんこんにちは。 今回のテーマは「医療保険における保険者機能」です。 「年金時代」の連載に医療保険の話というのもどうかと思ったのですが、これまでも何回か書きましたし、公的年金制度について語るべき大事なことはこれまでの連載の中でほぼお話ししましたので、お許しいただければと思います。 医療保険者、健保組合や協会けんぽ、公務員の共済組合など、医療保険制度の運営主体である「保険者」が持っている機能、果たすべき機能、って何でしょうか。 「保険者機能の強化が重要」ってよく言います

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#60 2020年新年雑感(下)

(承前) 当事者として社会に立ち向かう勇気私がアゼルバイジャンにいるこの3年間に、世界では、ISなどの宗教原理主義者たちのテロ、白人至上主義者など極右集団のテロ、イスラム教徒やユダヤ教徒に対するあからさまな差別、移民排斥、排外主義的・民族主義的イデオロギーの蔓延など、私たちの社会の「寛容」、「多様性」、私の言葉で言えば「民主主義の強さ」が問われる事件が数多く起こりました。 同時に他方では、#Me Too movementやLGBT、人種差別と闘う様々な運動が世界中で展開され

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#59 2020年新年雑感(上)

みなさんあけましておめでとうございます。 新年いかがお過ごしでしょうか。私は大使生活も2年9ヶ月、海外生活3回目の正月をバクーで迎えています。 日本の大晦日と言えば家で年越しそばを食べ、静かに除夜の鐘を聞くか初詣に出かける、というのが普通ですが、海外では(キリスト教国でもここアゼルバイジャンでも)大晦日は大パーティーを開いてカウントダウンをします。 1分前からカウントダウンが始まり、0時の時報とともに花火が打ち上がり、そのまま朝まで踊り明かす、っていうのが定番です。 一昨年

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#58 行動経済学と医療(下)

(承前) みなさんこんにちは。 前回の連載で、最近、医療界のみならず世の中に旋風を巻き起こしている「行動経済学」、今や霞が関の政策形成にも影響を及ぼしている「ナッジ」について紹介しました。 その上で、昨今の「行動経済学」ブームについて、私は二つの点で違和感というか懸念を覚えている、ということをお話ししました。 今回は、私が覚えている「違和感」についてお話しします*。 第一は、「行動経済学」という学問そのものを理解する視点、というか立ち位置に関することです。 この学問を

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#57  行動経済学と医療(上)

みなさんこんにちは。 今回の枕は「近代石油産業発祥の地」バクーのお話です。 石油=燃える水は、古来世界のあちこちで発見されていました。 日本でも、日本書紀の中に、天智天皇即位7年(668年)の秋、越の国(現在の新潟県)から「燃える水、燃える土」が大津宮に献上された、という記載があります。この「燃える水」とはもちろん石油のことです。 ここアゼルバイジャン(より正確に言えば現在首都バクーがあるアブシェロン半島地域)でも古くから石油の存在は知られていて、露天で吹き出す石油や天然

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#56 道化師の役割

みなさんこんにちは。 ベネチア映画祭で金獅子賞を受賞した映画「Joker」が10月4日から日米で同時上映されていると聞きました。 バットマンの宿敵であるjokerといえば1989年の映画「バットマン」でジャック・ニコルソンが演じたjokerが有名ですが、このjoker、アメコミ史上最強最大の悪役 villain なんだそうで、不遇の大道芸人がいかにして悪のヒーローjokerに変貌していくのか、どんな描き方をされているのかとても興味があるんですが、残念ながらここアゼルバイジャン

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#55 第1回日本武道フェスティバル

皆さんこんにちは。 最初に、台風19号で被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。 台風19号については、その巨大さから早い段階から海外ニュースで繰り返し報道されましたし、上陸時の様子や被害の状況もかなり詳しく報道されました。 アリエフ大統領から安倍総理宛てお見舞いの連絡がありましたし、私自身もこちらの政府要人(閣僚・国会議員など)や大使仲間から丁重なお見舞いの連絡をいただいたことを報告します。 世界中どこでもそうだと思いますが、秋は様々なイベントが開催される季節で

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#53 管理職にこそ必要な「働き方改革」

Emotional Intelligenceとは?みなさんこんにちは。 この連載の中で、これまで折に触れて「感性―共感する力」についてお話をしてきました。 行政官として現場を知るために必要な資質としての「専門知」と「感性」、教養主義復権論の中で述べた、自由な知的営為・創造的実践を支える「理性」と「感性」。 心理学の本を読むと、感性とは「感情を理性に変える力」「人の心の動きを感覚的に理解する力」などと説明されています。 人間はhomo Sapiens (知恵ある人)ですが、同

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#52 夏休みロンドン滞在記

みなさんこんにちは。 7月、8月は夏休み。バクー外交団コミュニティのみなさんもそれぞれ夏季休暇を楽しんでおられます。先日、帰任されるUK大使のFarewell Receptionがありましたが、バクーに残っている大使は半分くらいでした。 かく言う私も7月に休暇をいただいて2週間ほどロンドンに行ってきました。 今回は「夏休み」ということで、仕事の話はありません(笑)。ロンドンで拾った面白い話題をいくつか紹介することにいたします。 ウインブルドンテニス観戦今回の夏季休暇の最大

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#51 「地方の自立」について考える

みなさんこんにちは。 まずは近況報告から。 ラマダン明けの6月19日、日本大使公邸で、5月1日に御即位された天皇陛下の御即位祝賀レセプションを開催しました。 例年、各国大使館が行う最大の公式レセプションは各国のナショナルディに行うレセプションです。日本のナショナルディは天皇陛下の御誕生日。イギリスも女王陛下の御誕生日。アメリカ合衆国は独立記念日、フランスはフランス革命記念日、ドイツは東西ドイツ統一記念日です。 上皇陛下の御誕生日は12月23日ですから平成時代の日本のナショ

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#50 「健康寿命」再論

みなさんこんにちは。 まずは近況報告。 アゼルバイジャンは自分の国の知名度を上げるために、積極的に様々な国際イベント、スポーツ大会、国際会議などを誘致・開催している、というお話は以前にもお伝えしたと思います。 4月から6月にかけては、時季もいいこともあってバクーは各種国際イベントが目白押しになります。4月末のF-1アゼルバイジャングランプリ、異文化国際対話フォーラム(この二つは以前に紹介しました)、Caspian Oil & Gas Exhibitionといった毎年開催され

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