マガジンのカバー画像

新しい年金時代

年金実務に携わる皆さまに、公的年金等を中心とした制度改正の動向や実務情報をお届けします。定期購読(月500円)のほか、読みたい記事だけ各100円でご購入いただけます。
国内でも有数の年金に特化したメディアです。
¥500 / 月
運営しているクリエイター

#香取照幸

謎の新興国アゼルバイジャンから|#46 「生産性」ってなんでしょう―こんなに長時間労働してるのに給与が上がらない。日本人は働きが悪い?―

香取 照幸(かとり てるゆき)/アゼルバイジャン共和国日本国特命全権大使(原稿執筆当時) みなさんこんにちは。 新しい元号は「令和」になりました。 4月30日にはいよいよ今上天皇陛下が譲位され、5月1日に皇太子殿下が即位されます。 昨年12月のお誕生日の記者会見で、天皇陛下は、 「平成の時代に入り、戦後50年、60年、70年の節目の年を迎えました。先の大戦で多くの人命が失われ、また、我が国の戦後の平和と繁栄が、このような多くの犠牲と国民のたゆみない努力によって築かれたもの

有料
100

謎の新興国アゼルバイジャンから|#45 全世代型社会保障とは――政策に取り組む後輩たちに贈る言葉(下)

みなさんこんにちは。 今回は前回の続き、「全世代型社会保障」の下です。 その前に近況報告。 2月18日、アゼルバイジャン第2の都市ギャンジャ(GANJA)で「第4回日本大使杯柔道大会」が開催されました。 8歳から15歳まで、男子5階級、女子2階級で少年少女柔道選手が競う大会です。 以前お話ししたように、アゼルバイジャンは格闘技が盛んで、柔道も非常に人気のスポーツです。中でもギャンジャは柔道が盛んで、これまでアゼルバイジャンチャンピオンやヨーロッパチャンピオンを何人も輩出し

有料
100

謎の新興国アゼルバイジャンから|#44 全世代型社会保障とは――政策に取り組む後輩たちに贈る言葉(上)

*この記事は2019年3月7日に「Web年金時代」に掲載されました。 みなさんこんにちは。 ここアゼルバイジャンはあまり郵便事情がよくないので、日本からの郵便が届くのに結構時間がかかります。 聞けば、この国の文化では、手紙というのは個人に託して届けるものだったんだそうで、例えばバクーに住んでいる地方出身の人たちは、同郷の人が帰省する際にその人に手紙や荷物を託す、自分が帰るときにも同郷の仲間の手紙や荷物を預かって届ける、そんな風になっていたんだそうです。 旧ソヴィエト連邦

有料
100

謎の新興国アゼルバイジャンから|#43 解題『ちょっと気になる政策思想』(下)社会保障を支える経済学

(承前) 社会保障に関わる経済学の系譜政策思想としての経済学の系譜を解説した上で、著者は、それが様々に論じられる社会保障をめぐる政策論とどう関わっているのかを理解することが重要だ、と指摘しています。 社会保障は、市場経済という社会のメインシステムを補完するサブシステムとして生まれたものです。故に、「経済学」あるいは「経済学者」の立場から論じられる社会保障政策論を眺め、理解するためには、そこで論じられている「政策論」が、一体いかなる経済理論に依拠して展開されているのかを知ら

有料
100

謎の新興国アゼルバイジャンから|#42 解題『ちょっと気になる政策思想』(中)右側の経済学と左側の経済学 

右側の経済学と左側の経済学さて、以上を頭に置いて、本書の「白眉」でもある、右側の経済学と左側の経済学について見ていきましょう。 著者は、アダム・スミス以来の経済学の系譜を改めて紐解き、経済学を「右側の経済学」と「左側の経済学」に区分しています。この両者を区分する一番のメルクマールは、「市場の機能に関する認識」が全く異なっていることだ、と著者は説きます。 要すれば、経済規模を規定する主因を何と考えるか、経済活動における供給に着目する経済学と需要に焦点を当てる経済学、ということ

有料
100

謎の新興国アゼルバイジャンから|#41 解題『ちょっと気になる政策思想』(上)全ての経済学には「思想」がある 

みなさんこんにちは。 1月に入って、バクーは厳寒の毎日が続いています。もともと風が強い街ですが、暖冬だった去年と違って今年は寒波が何度も押し寄せてくるし、時には雪も舞うので、文字通り「寒風吹きすさぶ」毎日です。 この年末年始、エジプト大使のお勧めもあったので、お許しをいただいて休暇をエジプトで過ごしました。 5,000年の歴史の重みというのはそれはそれは凄いもので、それこそ聖書以前の世界が普通に目の前に広がっているんですからその迫力には言葉もありません。 世界観が変わる経験

謎の新興国アゼルバイジャンから|#40 去り行く世代から学ぶべきこと

みなさんあけましておめでとうございます。 昨年は明治維新(1868年)から150年の節目の年でした。そして今年は2019年、平成最後の年です。太平洋戦争の終結は1945年ですから、あれから73年以上の歳月が流れたことになります。 明治維新から日中戦争が(本格的に)始まった1937年(盧溝橋事件)までが69年、太平洋戦争が始まった1941年までが73年ですから、今や「戦後」は先の大戦を挟んで近現代日本の歴史の半分以上の長さとなったわけです。 厚労省の現役時代、年金と並んで、高

有料
100

謎の新興国アゼルバイジャンから|#39 私の教養主義復権論(その5―終)何故教養が大事なのか

みなさんこんにちは。 「私の教養主義復権論」の5回目、最終回です。今回は長くなるので「枕」はありません。悪しからず。 ここまで、「正解を教える教育」の負の側面について述べ、疑うこと=批判的考察の重要性、多様な考え方・多様な価値観を理解することのできる「知の体系」「思考の枠組み」=OSとしての「教養」を身につけること、自らの「理性」と「感性」をはぐくみ、既成の「正解」にとらわれない自由な知的営為・創造的実践を行うことこそが困難な時代を乗り越えて行くために必要であることなどなど

有料
100

謎の新興国アゼルバイジャンから|#38 私の教養主義復権論(その4)学問は人を自由にする リベラルアーツ

みなさんこんにちは。 今年は第一次大戦終結から100年の節目の年です。 第一次大戦終戦記念日(Armistice Day, Remembrance Day)である11月11日、小雨の降る中、パリで「第一次大戦終結100年式典(WW1 Armistice Centennial)」が開催されました。 式典にはマクロン大統領、トランプ大統領、プーチン大統領、メルケル首相、トルドー首相、グテーレス国連事務総長はじめ70以上の国・国際機関の首脳が参列し、その模様はBBC ,CNN,Fr

有料
100

謎の新興国アゼルバイジャンから|#37 私の教養主義復権論(その3)知識と教養 「疑うこと」の重要性

みなさんこんにちは。 寄り道を2回もしてしまいましたが、今回は「私の教養主義復権論」の3回目を書きます。 その前に一件ご報告。 アゼルバイジャン最大の油田であるACG油田(ピーク時日産80万バレル)の開発事業に参画している日本のINPEX(国際石油開発帝石株式会社)は、3年前から当地の石油関連技術者の養成研修事業として、アゼルバイジャン国営石油会社(State Oil Company of Azerbaijan Republic(SOCAR))の若手技術者に対する研修事業を

有料
100

謎の新興国アゼルバイジャンから|#36 差別と向き合い、乗り越える勇気―LGBT・ハンセン病訴訟―

みなさんこんにちは。 「寄り道」の2回目です。 「私はLGBTQ(性的少数者)の権利のための闘いを信じているし、性的指向や性に基づいた差別はどのような形でも間違っていると確信します」というテイラー・スウィフトさんの投稿に触発されたわけではありませんが、今回はLGBTに関係する話をします。 過日、休暇をいただいてCityに勤める友人に会いに週末のロンドンに行きました。彼の自宅の近所にとあるパブがあり、こんな看板が出ていました。 皆さんはアラン・チューリングという名前を聞いた

有料
100

謎の新興国アゼルバイジャンから|#35 「主体的に行動し、発言する―28歳の勇気」

皆さんこんにちは。 前回の続きの前にちょっと気になる話題があったので、今回・次回とちょっと寄り道をしてそちらを先に紹介することにします。すみません。 若い方なら誰でも知っている世界的ポップスター、テイラー・スウィフト(Taylor Swift)さんが自身のインスタグラムに自らの政治信念について投稿し、話題になっています。 2010年に史上最年少でグラミー賞(最優秀アルバム賞)を獲得している彼女は今年28歳、11月には3年ぶりの日本公演も予定されています。 欧米、特にアメリ

有料
100

謎の新興国アゼルバイジャンから|#34 私の教養主義復権論(その2)自分のアタマで考えることの重要性

バクーで世界柔道選手権が開催!みなさんこんにちは。 9月20日から27日まで、ここバクーで世界柔道選手権が開催されました。 柔道はレスリングと並んでアゼルバイジャンの人気のスポーツの一つです。元々格闘技が盛んなアゼルバイジャン、オリンピックでの金メダリストは6人、うち4人がレスリング、柔道が1人です*。 今年の柔道選手権では体重別男女各7階級と男女混合国別団体戦が行われ、日本は女子5階級・男子2階級、そして団体戦の計8個の金メダルを獲得しました。特に女子は全階級で決勝戦まで

有料
100

謎の新興国アゼルバイジャンから|#33 私の教養主義復権論(その1)「正解」を教える教育って…

ロシアで支給開始年齢引き上げの抗議運動が勃発みなさんこんにちは。 早速ですが、この夏、とても興味深い報道に接しました。 ロシアで公的年金の支給開始年齢引き上げが提案され、それが市民の大きな反発を呼び全土に抗議運動(デモ・集会)が広がっている、というものです。 https://www.usnews.com/news/best-countries/articles/2018-08-27/in-russia-raising-retirement-age-proves-unpopu

有料
100