謎の新興国アゼルバイジャンから|#64 世界の民主主義は後退しているのか⑶【最終回】
みなさんこんにちは。
今回は「民主主義インデックス」の3回目。最終回です。
日本の民主主義はどう評価されているか
さて。前回の連載で、日本の民主主義は「欠陥のある民主主義」に分類されている、というお話をしました。
日本のスコアがどうなっているのか、どのスコアが低いことが全体の評価に影響しているのか、細かく見てみたいと思います。
まず、主要欧米諸国(アメリカを除きすべて「完全な民主主義」です)と日本のスコアを、個別カテゴリーごとに比較してみましょう。
一見して明らかなように、日本は「政治参加」「政治文化」のスコアが低く、特に「政治参加」は6点台と極めて低くて(このスコアが6点台なのは欧米諸国ではポルトガルだけです)、このスコアが全体の足を引っ張っていることが分かります。
「政治参加」の指標は、前々回ご紹介したとおり、以下の9項目です。
27.国政選挙への有権者の参加の程度(2000年以降の議会選挙の平均投票率が70%以上であれば1.0)
28.民族的、宗教的その他のマイノリティの政治参加は保障されているか
29.国会における女性議員の割合(20%を超える場合1.0)
30.政党および政治的非政府組織への市民の参加(人口の7%を超える場合1.0。ただし「参加の強制」がある場合は0.0)
31.市民の政治への関与・関心の度合(政治に「非常に」または「ある程度」興味がある人の割合が60%を超える場合は1.0)
32.合法的なデモへの市民の参加(合法的なデモに参加した、または参加を検討する人の割合が40%を超える場合1.0)
33.成人のリテラシー(90%を超える場合は1.0)
34.政治ニュースに関心を示し、政治情報をフォローする程度(毎日ニュースメディア(印刷物、テレビ、ラジオ等)で政治をフォローする人口の割合が50%を超える場合に1.0)
35.当局による政治参加促進のための努力の程度(参加が強制される場合は0.0)。
「政治参加」に関する日本のスコアの低さを、項目ごとに考えてみましょう。
まず投票率。日本のみならず、国政選挙の投票率は世界的に低下傾向にあるのは事実で、OECD諸国平均で1990年代の75.3%から2010年代の67.5%へと8%近く低下しています。しかしながらその中でも日本の投票率(56%)の低さは際立っています。
マイノリティの政治参加は保障されていますが、日本の国会議員に占める女性議員比率はわずか11%です。
政党活動等に参加している市民は極めて少数、デモに参加したことのある市民も(最近は労働組合もほとんどデモをしませんし)おそらく極めて少数。
世論調査等を見ても、政治に関する関心も決して高いとは言えません。
「市民的自由」や「選挙プロセス」のスコアが8点台後半であることを考え合わせると、日本の民主主義の抱える課題が、一つが「女性の政治参加」、もう一つが人々の政治に対する行動・意識にあることが窺えます。
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