謎の新興国アゼルバイジャンから|#56 道化師の役割
みなさんこんにちは。
ベネチア映画祭で金獅子賞を受賞した映画「Joker」が10月4日から日米で同時上映されていると聞きました。
バットマンの宿敵であるjokerといえば1989年の映画「バットマン」でジャック・ニコルソンが演じたjokerが有名ですが、このjoker、アメコミ史上最強最大の悪役 villain なんだそうで、不遇の大道芸人がいかにして悪のヒーローjokerに変貌していくのか、どんな描き方をされているのかとても興味があるんですが、残念ながらここアゼルバイジャンではしばらく観ることはできなさそうです(あ、ネタバレのメイルとか送ってこないでくださいね(笑))。
さて、2回続けてアゼルバイジャンの話題紹介をしましたので、今回は前振り抜きで本題に入りたいと思います。
Jokerならぬ「道化師―clown」のお話です。
みなさん「道化師」というと何をイメージしますか。派手な衣装を着てサーカスに登場するピエロ。赤い鼻の某ファーストフードのキャラクターもありますよね。大道芸人、ちょっとのろまなコメデイアン、もちろんjokerも道化師のキャラの一つです。
でも今回お話するのは、「宮廷道化師」です。
王室や英雄物語を題材にしたヨーロッパの舞台劇を見ていると、王の隣に「道化―clown」が登場することがよくあります。
道化は、大げさな身振りで、こんなこと言っていいのか、というような辛辣なセリフを一種の笑い(皮肉な笑い)に包んで発します。
シェイクスピア劇の多くにこの「道化」が登場します。
特に「リア王」に出てくる道化は有名ですが、道化は決して「愚か者」ではありません。王と道化のやりとりは、さながらリア王と自身の分身とのやりとりのように、王の内面の苦悩を描き出しています。
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