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回復期・慢性期・在宅医療を議論 新地域医療構想検討会(2024年9月30日)

厚労省の「新たな地域医療構想等に関する検討会」(遠藤久夫座長)は9月30日、「回復期・慢性期・在宅医療」の医療機能や、年内の取りまとめを予定している医師偏在対策を議論した。新たな地域医療構想では、回復期リハビリテーションや一部の診療科に特化した医療機関を「その他地域を支える機能」として分類し、地域包括ケア病棟などの高齢者救急のサブアキュート機能を備える医療機関と別に整理する方向が示された。

新たな地域医療構想では、既存の4医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)に加え、医療機能を病床機能報告で報告する方向にある。特に「回復期」は、高齢者救急の受け皿として重要であり、急性期と回復期を組み合わせた機能の見直しも提案されている。

一方、医療機関機能には、「高齢者救急の受け皿となり、地域への復帰を目指す機能」「在宅医療を提供し、地域の生活を支える機能」「救急医療等の急性期の医療を広く提供する機能」の3分類がある。今回新たに、「地域によっては、回リハや一部の診療科に特化した医療機関等が存在し、その役割を発揮している」とし、3分類とは別に整理する方向になった。

2040年に求められる基礎となる構想区域(イメージ)(案)

回リハに特化した医療機関とは、回復期リハビリテーション病棟入院料を算定し、急性期病棟併設や地ケア病棟がない回リハ単独の医療機関と位置付けた。

厚労省は資料で、回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟の違いを強調した。回リハ病棟は「高齢者救急の受け皿となり地域への復帰を目指す機能」と異なり、例えば回リハ病棟の平均在院日数は地ケア病棟よりも約30日長く、一部の回リハ病棟では一般の急性期病院よりも死亡率が高い。胸腰椎の骨折では、回リハ病棟の在院日数は約50日、地ケア病棟では約30日だ。
ただし、これらのデータに基づく解釈には医療団体の委員から慎重な判断が必要との意見が出た。

在宅医療ではより弾力的に圏域を設定

慢性期・在宅医療については、地域で在宅医療を実施し、他の医療機関や訪問看護ステーション、歯科医療機関、薬局、介護施設と連携して24時間対応や在宅患者の入院対応ができる医療機関機能を整理することで、概ね構成員の理解を得た。

在宅医療の圏域は従来の2次医療圏にこだわらず、市町村単位や保健所圏域などの地域の医療・介護資源の実情に応じて弾力的に検討する方針だ。

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