新たな地域医療構想検討会が医療・介護団体からヒアリング(2024年5月31日)
厚労省の新たな地域医療構想等に関する検討会は5月22日、27日、31日の3回にわたり、医療・介護関係団体・有識者へのヒアリングを行った。新たな地域医療構想に向けた展望や期待について意見発表があった。検討会は今後、中間的な整理を経て、年末の最終まとめに向けて議論を行う。
都道府県の実情に応じた柔軟な対応を認めるべき
22日のヒアリングで、東京都の岩井志奈参考人は、東京都の地域医療構想調整会議において、「認知症や基礎疾患等を抱える高齢患者、独居の高齢者が増加する中で、医療・介護全体での体制構築の議論が必要」「既存サービスを提供するための人材確保も厳しい状況であり、将来に向けて医療・介護の人材確保の状況を踏まえた議論が必要」との意見があったと説明。
その上で、◇新たな地域医療構想では、策定後も様々な状況変化を踏まえ、適宜考え方の見直しやデータの更新を図るとともに、都道府県の実情に応じた柔軟な対応を認めるべき◇構想策定後、地域の現状を的確に捉え自律的に今後の対応を判断できるよう、複数の適切な指標を示すべき◇関係者と十分な議論を行うには時間が必要であり、策定のためのガイドライン等は可能な限り早期に示すべき―と主張した。
リハビリ機能を充分にもつ老健施設へつなぐことが効果的
27日のヒアリングで全老健の東憲太郎構成員は、高齢者施設の中で老健施設と介護医療院だけが医師が常勤する医療提供施設であると説明。老健施設が、介護報酬における総合医学管理加算で評価される短期入所療養介護、いわゆる医療ショートにより軽度な医療ニーズのある利用者を受け入れていることを強調した。また、老健施設の稼働率は平均80%台であり、「ほぼ常に受入れが可能」と述べた。
医療機関でも生活機能の維持を図るための機能強化が行われているが、基本的に医療機関は治療を最優先させる場で、「認知機能など一定の生活機能の悪化は致し方ない」とし、「一刻も早くリハビリ機能を充分にもつ老健施設へつなぐことが効果的」と主張した。
医療機能の把握は病床単位を基本にすべき
31日のヒアリングで日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦参考人は、福井県における現状の地域医療構想の推進に関する取組みを紹介。在院日数が長く、病床稼働率が低い急性期病床を持つ病院に対するヒアリングなどを実施した結果、「回復期への病床機能の転換やダウンサイジングを検討する医療機関が増えた」と述べた。
また、医療機能は「病床単位」で把握したほうが、「実体をより正確に反映している」ため、2024年度中の策定が医療機関に求められている対応方針においては「病床単位」を基本にすべきとした。
新たな地域医療構想については、在宅・介護提供体制との一体的構想や、マーケティング戦略を意識した情報開示、般病床・療養病床の枠組みの撤廃などが求められると主張した。
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