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新たな地域医療構想、年内まとめへ——厚労省が基本方針を提示(2024年8月26日)

厚労省は8月26日、新たな地域医療構想等に関する検討会において、目指すべき医療提供体制の「基本的な考え方」と「基本的な方向性」の案を提示した。2040年を見据えた新たな地域医療構想については、入院医療だけでなく、外来医療・在宅医療、介護との連携等を含む、医療提供体制全体の構想を策定する。検討会は年内のとりまとめに向け、今後は入院や外来、在宅医療、介護との連携など各論の議論に入る。

地域医療構想に関して、これまでの議論を踏まえた「基本的な考え方」が示された。

増加する高齢者救急については、「軽症・中等症を中心とした高齢者の救急の受け入れ体制を強化する。ADLの低下を防ぐため、入院早期から必要なリハビリを適切に提供し、早期に生活に戻ることを目指す」としている。

健康保険組合連合会専務理事の河本滋史構成員は、「ADLの低下を防ぐため、入院早期から必要なリハビリを適切に提供する」ことに関して、診療報酬における地域包括ケア病棟や2024年度診療報酬改定で創設された地域包括医療病棟の役割発揮を求めた。

在宅医療については、需要増を前提に、「必要に応じて現行の構想区域よりも小さい単位で、地域の医療機関の連携により24時間の在宅医療の提供体制の構築、オンライン診療の積極的な活用、介護との連携等、効率的かつ効果的な在宅医療の提供を目指す」としている。

全日本病院協会会長の猪口雄二委員は、「在宅医療の提供体制は地域により大きく異なる。例えば、都会では十分な数の医師を集めた在宅専門の診療所がすでに乱立しており、十分な供給体制になっている。一方、地方ではそのような診療所はなく、数少ない医師が属する診療所で対応しなければならない状況にあり、大変厳しい」と述べた。また、特に在宅医療に関して、ACPに言及。「言葉としては広がっているかもしれないが、どこまで浸透しているかは疑問。医師が常駐していない特別養護老人ホームなどでACPをどのように活用していくかは重要なポイント」と強調した。

また、「基本的な考え方」では、医療の質やマンパワーの確保のため、「必要に応じて現行の構想区域を越えて、一定の症例や医師を集約して、医師の修練や医療従事者の働き方改革を推進しつつ、高度医療・救急を提供する体制の構築を目指す」考えも明示している。

特に過疎地においては、「人口減少や医療従事者の不足が顕著になる中で、地域で不可欠な医療機能(日常診療や初期救急)について、拠点となる医療機関からの医師の派遣、巡回診療、ICT等を活用し、生産性の向上を図り、機能維持を目指す」ことも示した。

「医療提供体制全体の課題解決を図るため」の構想めざす

一方、「基本的な考え方」を受けた「基本的な方向性」が示された。現行の地域医療構想は「病床の機能分化・連携」を目指した構想だが、新たな地域医療構想は「入院医療だけでなく、外来・在宅医療、介護との連携等を含む医療提供体制全体の課題解決を図るため」の構想とする。

課題は大きく3つに集約される。①地域の患者・要介護者を支えられる地域全体を俯瞰した構想②今後の連携・再編・集約化をイメージできる医療機関機能に着目した医療提供体制の構築③限られたマンパワーにおけるより効率的な医療提供の実現──である。

なお、同日の資料では、病院の経営状況が示されている。病床稼働率は一般病床、療養病床ともに2000年の前から低下傾向にあり、2022年では一般病床で69%、療養病床で85%。医業利益率は一般病院、療養型病院、精神科病院ともに2020~2022年に悪化している。ただ、新型コロナ感染拡大の影響が大きく、現状の把握ができていない。一般病院では2020年と2022年の収支はマイナスである。

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