4割強の在支病が地域包括医療病棟への移行を検討(2024年6月30日)
日本在宅療養支援病院連絡協議会(鈴木邦彦会長)は6月30日に記者会見を開き、地域包括医療病棟の意向調査と介護施設の協力医療機関に関する調査結果を発表した。回答した96施設のうち、地域包括医療病棟への移行を決めた病院は4施設、「検討中」は40施設、「移行しない」は51施設であった。全日病、日本病院会、日本医療法人協会の3病院団体調査の結果よりも、「検討中」の施設が42%で多く、在宅療養支援病院(在支病)への調査であることの特徴がみられた。
地域包括医療病棟は2024年度診療報酬改定で創設された。救急患者等を受け入れる体制を整え、リハビリテーション、栄養管理、入退院支援、在宅復帰等の機能を包括的に評価している(1日3,050点)。高齢者救急の増加に対応するための病棟でもある。
意向調査の回答数は96施設(回答率60%)で、うち36施設が機能強化型在支病・連携型、33施設が在宅療養支援診療所、22施設が機能強化型在支病・単独型となっている。
地域包括医療病棟への移行を決めている在支病は4施設。移行元は2施設が急性期一般入院料4、1施設が急性期一般入院料5、1施設が地域包括ケア病棟入院料1だった。
移行率は4.2%で全日病、3病院団体調査と同程度だ。
施設基準は在宅復帰率のハードルが高い
一方、「検討中」が40施設で42%を占め、3病院団体調査の14%よりずっと多い。鈴木会長は「地域包括医療病棟が求める機能の多くは、在支病が担う機能と重なる」と述べた。「検討中」である理由の多くが、施設基準が厳しく移行が難しいことは3病院団体調査と共通している。鈴木会長は、「(鈴木会長が理事長を務める)志村大宮病院も『検討中』で、在宅復帰率のハードルが高い」と指摘した。
地域包括医療病棟の在宅復帰率は80%以上で、「在宅等」は、「介護老人保健施設(一部除く)、自宅・居住系介護施設、有床診療所(一部く)、回復期リハビリテーション病棟」に限られる。
横倉義典副会長は、「整理しきれていないのですべて気になる」とした上で、特に、「『重症、医療・看護必要度』、在宅復帰率、「ADLが入院時と比較して低下した患者の割合が5%未満」を満たすのが難しい施設基準にあげた。梶原崇弘副会長は、施設基準全般について、「現場の実態よりも理念を優先させて作った病棟だと思う」と述べた。織田正道理事は、「施設基準が厳しく簡単には移行できない。まだ様子見の病院が多い」との見方を示した。