中医協総会の小塩会長「多くの課題に対応した」報酬改定を答申(2024年2月14日)
中医協総会は2月14日、令和6年度診療報酬改定を武見敬三厚生労働大臣に答申した。答申に際して小塩隆士会長は、「今回改定では、解決が迫られる多くの課題に対応した」と発言した。【社会保険旬報編集部】
写真:濵地雅一厚生労働副大臣(右から4人目)、塩崎彰久厚生労働大臣政務官(同3人目)に答申書を手渡す中医協・小塩隆士会長(左から4人目)
トリプル改定により連携強化、ポストコロナに備え
具体的な課題としては、6年に1度の医療・介護・福祉の同時改定であり、それぞれのサービスの連携強化が求められたこと、医療従事者の賃金を引き上げるため、診療報酬での対応が求められたこと、医師の時間外労働規制が4月から施行されることに配慮すること、新型コロナが5類感染症になりポストコロナの感染症に備えること、長期収載品に選定療養の仕組みが導入されたこと、医薬品供給の制約が強まっていることに対応したことをあげた。
また、病床機能の分化、連携・強化を推進するという医療提供体制の構造的な課題に対して、一定の対応を行ったことにも言及した。その上で、今回改定の結果について、令和6年度改定附帯意見を踏まえ、今後、データやエビデンスに基づき検証を行い、次の改定に活かしていくべきことを強調した。
地域包括医療病棟を創設
同時改定に関しては、診療報酬改定の議論を開始した昨年4月以前から、「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会」(小塩隆士座長)を開催し、3回の議論を行った。意見交換会では、急増する高齢者救急の受け皿をめぐり、地域包括ケア病棟での受入れを積極的に促す議論も行われた。
ただ、中医協総会の議論では、少なくとも救急搬送先の場所としては、回復期ではなく、急性期が望ましいとの意見が根強く、今回の地域包括医療病棟の創設につながった。
公益裁定で「重症度、医療・看護必要度」を大幅見直し
また、病床機能の機能分化、連携・強化に関しては、診療報酬調査専門組織の入院・外来医療等の調査・評価分科会(尾形裕也分科会長)が4月から9月にかけて、入院医療を中心に技術的な課題に関する専門的な検討を行っており、特に、「重症度、医療・看護必要度」の詳細な分析結果の提案の多くが、実際の見直しに反映された。
なお、「重症度、医療・看護必要度」の基準値等は今回も中医協総会の議論で、支払側と診療側の意見が一致せず、公益裁定となった。