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中医協が6年度改定答申書の附帯意見の検討の進め方を了承(2024年5月15日)

中医協は5月15日の総会で、令和6年度診療報酬改定の答申書附帯意見の各項目の検討の進め方について了承した。

附帯意見は28項目あり、それぞれ総会、入院・外来医療等の調査・評価分科会、検証部会、薬価専門部会、保険医療材料専門部会に分けて調査・検討を行う()。

総会では、全般的な事項のほか、入院時食事療養費の引上げ、医療技術の評価、敷地内薬局、長期収載品を取扱う。検証方法そのものについて、データやエビデンスに基づいて迅速・正確に検証できる方策を検討する。

入院・外来医療等分科会で賃上げや入院医療を調査

入院・外来医療等の調査・評価分科会は、6年度改定の主要項目の多くを調査・検討する。項目は、賃上げ全般、働き方改革・人材確保、入院医療(地域包括医療病棟等、急性期一般病棟入院基本料や高度急性期医療等、地域包括ケア病棟入院料・回復期リハビリテーション病棟入院料・療養病棟入院基本料等、救急医療管理加算、DPC/PDPS・短期滞在手術等基本料)、外来医療(地域包括診療料・加算等、生活習慣病の管理等、かかりつけ医機能等、情報通信機器を用いた診療等、リハビリテーションへの対応等)。

地域包括医療病棟は、新病棟の創設に伴い「10対1の急性期一般病棟の入院機能を明確にした上で、再編を含め評価のあり方を検討する。

検証部会では、医療DX、外来医療(情報通信機器を用いた精神療法)、在宅医療等、精神医療、歯科診療報酬、長期処方やリフィル処方、後発医薬品の使用促進がある。

一方、新医薬品の承認時期が2025年から年7回になることを踏まえ、薬価収載も年7回とする方針で検討することが報告された。

表:答申書附帯意見と主な検討の場

 (全般的事項)
1:近年、診療報酬体系が複雑化していること及び医療DXの推進において簡素化が求められていることを踏まえ、患者をはじめとする関係者にとって分かりやすい診療報酬体系となるよう検討すること。➡総会

 (賃上げ全般)
2:看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種を対象とした賃上げに係る評価について、各医療機関における賃上げが適切に実施されているか、実態を適切に把握した上で、検証を行うこと。また、40歳未満の勤務医師及び勤務歯科医師並びに薬局の勤務薬剤師、事務職員や歯科技工所で従事する者等についても賃上げの実態を適切に把握した上で、検証を行うこと。➡入院・外来医療等の調査・評価分科会

 (医療DX)
3:令和6年12月2日から現行の健康保険証の発行が終了することを踏まえ、医療情報取得加算による適切な情報に基づく診療の評価の在り方について令和6年度早期より見直しの検討を行うとともに、医療DX推進体制整備加算について、今後のマイナンバーカードの保険証利用の利用実態及びその活用状況を把握し、適切な要件設定に向けて検討を行うこと。加えて、医療DX推進体制整備加算について、電子処方箋の導入状況および電子カルテ共有サービスの整備状況を確認しつつ、評価の在り方について引き続き検討すること。➡検証部会

 (働き方改革・人材確保)
4:医師の働き方改革の更なる推進を図る観点から、医療機関全体の取組に対する評価の在り方、タスクシフト・タスクシェアの進捗及び各医療従事者の負担の軽減、人材確保が困難である状況の中での看護補助者の定着等について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、実効性のある取り組みに繋がる評価の在り方等について引き続き検討すること。➡入院・外来医療等の調査・評価分科会

 (入院医療)
5:新設された地域包括医療病棟において、高齢者の急性疾患の受け入れ状況、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理などのアウトカムなどについて、幅広くデータに基づいた分析を行い、評価の在り方について検討すること。また、地域包括医療病棟の新設に伴い、10対1の急性期一般病棟については、その入院機能を明確にした上で、再編を含め評価の在り方を検討すること。➡入院・外来医療等の調査・評価分科会
6:急性期一般病棟入院基本料や高度急性期医療に係る評価、地域で急性期・高度急性期医療を集中的・効率的に提供する体制について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、人口構造や医療ニーズの変化も見据え、重症度、医療・看護必要度、SOFAスコア等、入院患者のより適切な評価指標や測定方法等、入院料の評価の在り方等について、引き続き検討すること。➡入院・外来医療等の調査・評価分科会
7:地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料、障害入院・外来医療等の者施設等入院基本料、療養病棟入院基本料等について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、求められている役割の更なる推進や提供されている医療の実態の反映の観点から、入院料の評価の在り方等について引き続き検討すること。➡調査・評価分科会
8:救急医療管理加算の見直しについて、今回改定による影響の調査・検証を行い、より適切な患者の重症度に応じた評価の在り方について引き続き検討すること。➡入院・外来医療等の調査・評価分科会
9:DPC/PDPS及び短期滞在手術等基本料について、今回改定による在院日数等への影響の調査・検証を行うとともに、医療の質の向上と標準化に向け、診療実態を踏まえた更なる包括払いの在り方について引き続き検討すること。➡入院・外来医療等の調査・評価分科会
10:入院時の食費の基準の見直しについて、今回改定による影響、食費等の動向等を把握し、検証を行うこと。➡総会

 (外来医療)
11:地域包括診療料・加算における介護保険サービスとの連携に係る評価について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、介護保険サービスとの連携の推進について引き続き検討すること。➡入院・外来医療等の調査・評価分科会
12:生活習慣病の管理について、今回の改定による影響の調査・検証を行うとともに、より適切な管理がなされるよう、患者の視点を十分に踏まえつつ、引き続き検討すること。加えて、他の疾病管理についても実態を踏まえた適切な評価の在り方について引き続き検討を行うこと。➡入院・外来医療等の調査・評価分科会
13:かかりつけ医機能を有する医療機関について、改正医療法に基づく制度整備の状況を踏まえ、かかりつけ医機能がより発揮される評価の在り方を検討すること。➡入院・外来医療等の調査・評価分科
14:情報通信機器を用いた精神療法について、患者の受療行動を含め、その実態について調査・検証を行うとともに、より適切な評価の在り方について引き続き検討すること。➡検証部会
15:情報通信機器を用いた診療については、初診から向精神薬等を処方している医療機関や大半の診療を医療機関の所在地とは異なる都道府県の患者に対して行っている医療機関があることを踏まえ、今後、より丁寧に実態を把握するとともに、引き続き評価の在り方について検討すること。➡入院・外来医療等の調査・評価分科会

 (在宅医療等)
16:在宅医療、在宅歯科医療、在宅訪問薬剤管理及び訪問看護の質の向上に向け、同一建物居住者への効率的な訪問診療や訪問看護における対応等、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、地域における医療提供体制の実態等も踏まえつつ、往診、訪問診療、歯科訪問診療、訪問薬剤管理指導、訪問看護等における適切な評価の在り方を引き続き検討すること。➡検証部会

 (精神医療)
17:地域移行・地域生活支援の充実を含む質の高い精神医療の評価について引き続き検討すること。特に新設された精神科地域包括ケア病棟入院料に検証部会ついては、地域定着等の状況も含め、データを用いて適切に調査・検証し、評価の在り方について検討すること。➡検証部会

 (リハビリテーションへの対応等)
18:回復期リハビリテーション入院医療管理料の新設に伴い、医療資源の少ない地域におけるリハビリテーションへの対応等について、今回改定による影響の調査・検証を行うこと。➡入院・外来医療等の調査・評価分科会

 (医療技術の評価)
19:保険適用された医療技術に対する評価について、レジストリ等のリアルワールドデータの解析結果や関係学会等による臨床的位置付けを踏まえ、適切な再評価が継続的に行われるよう、医療技術の評価のプロセスも含め引き続き検討すること。また、革新的な医療機器や検査等のイノベーションを含む先進的な医療技術について、迅速かつ安定的に患者へ供給・提供させる観点も踏まえ、有効性・安全性に係るエビデンスに基づく適切な評価の在り方を引き続き検討すること。➡総会

 (歯科診療報酬)
20:かかりつけ歯科医の機能の評価に係る施設基準の見直し等の影響や回復期リハビリテーション病棟等の入院患者に対する口腔管理・多職種連携の状況等を調査・検証し、口腔疾患の継続的な管理の在り方や口腔管理に係る関係者との連携の評価の在り方について引き続き検討すること。➡検証部会

 (調剤報酬)
21:調剤報酬に関しては、地域の医薬品供給拠点としての役割を担い、かかりつけ機能を発揮して地域医療に貢献する薬局の整備を進めるため、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、薬局・薬剤師業務の専門性をさらに高め、質の高い薬学的管理の提供への転換を推進するための調剤報酬の在り方について引き続き検討すること。➡検証部会

 (敷地内薬局)
22:いわゆる同一敷地内薬局については、同一敷地内の医療機関と薬局の関係性や当該薬局の収益構造等も踏まえ、当該薬局及び当該薬局を有するグループとしての評価の在り方に関して、引き続き検討すること。➡総会

 (長期処方やリフィル処方)
23:長期処方やリフィル処方に係る取組について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、適切な運用や活用策について引き続き検討すること。➡検証部会

 (後発医薬品の使用促進)
24:バイオ後続品を含む後発医薬品の使用促進について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、後発医薬品の供給状況や医療機関や薬局における使用状況等も踏まえ、診療報酬における後発医薬品の使用に係る評価について引き続き検討すること。➡検証部会

 (長期収載品)
25:選定療養の仕組みを用いた、長期収載品における保険給付の在り方の見直しについては、患者の動向、後発医薬品への置換え状況、医療現場への影響も含め、その実態を把握するとともに、制度の運用方法等に関して必要な検証を行うこと。➡総会

 (薬価制度)
26:今回の薬価制度改革の骨子に基づき、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消等の医薬品開発への影響や、後発医薬品の企業指標の導入や今後の情報公表も踏まえた医薬品の安定供給に対する影響等について、製薬業界の協力を得つつ分析・検証等を行うともに、こうした課題に対する製薬業界としての対応を踏まえながら、薬価における評価の在り方について引き続き検討すること。➡薬価専門部会

 (保険医療材料制度)

27:今回の保険医療材料制度改革に基づくプログラム医療機器への対応や革新的な医療機器等に対する評価の導入の影響等について検証すること。また、医療上必要な医療機器等の安定供給の確保等の観点から、いわゆる物流2024年問題による影響を注視するとともに、我が国における医療機器等の製造や流通、研究開発に係る費用構造等について関係業界の協力を得つつ分析し、こうした課題に対する関係業界としての対応を踏まえながら、適切な評価の在り方について引き続き検討すること。➡保険医療材料専門部会

 (施策の検証)

28:施策の効果や患者への影響等について、データやエビデンスに基づいて迅速・正確に把握・検証できるようにするための方策について引き続き検討すること。医療機関・薬局の経営状況については、医療経済実態調査等の結果に基づき、議論することを原則とすること。➡総会

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