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未だ治療薬のないNASHの治療アプリの治験を開始 CureAppが会見(2024年2月20日)

医療現場で医師が患者に処方する「治療アプリ」を製造販売する医療機器メーカーのCureApp(佐竹晃太社長)は2月20日、都内で記者会見を開き、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療アプリについて、今年1月からフェーズⅢの治験を国内で開始したことを発表した。同社はニコチン依存症治療アプリを2020年12月に、2022年9月には高血圧治療アプリを上市。現在、アルコール依存症治療アプリの薬事申請を準備している。今回、未だ治療薬のないNASH対し、世界初のアプリ開発によるNASHの治療法の確立を目指す。【社会保険旬報編集部】

NASHは、肝臓へ脂肪が蓄積し炎症が起こる病態であり、肥満や糖尿病、高血圧や運動不足などを背景とし発症する肝炎。肝硬変や肝がん、血管疾患などの重篤な疾病につながるリスクがありながら、多くの認知を得られていない生活習慣病の一種である。日本のNASH有病者は2000万人以上と推定され、その中でも将来、肝硬変や肝がんに進展する危険性のあるNASH患者は300万人程度存在し、今後も肥満人口の増加とともに患者数がさらに増える見込みとされている。

患者数増加に伴い国内外の複数の製薬企業などがNASH治療薬の研究開発を進めているが、現状効果的な医薬品は存在せず、減量のための栄養指導や医師からの運動の励行など個々の施設の取り組みにとどまり、治療法が確立していないことが大きな課題となっている。NASH新薬の開発は、ノボルディスクファーマ社の「セマグルチド」がフェーズⅢの治験まで進んでいる。

CureAppはNASH治療アプリについて2016年から研究開発を進め、2022年からはサワイグループホールディングス株式会社とともに治験の実施に向けて取り組んでいる。治験では、NASHと診断された患者のうち、生活習慣指導により治療効果が期待できると医師が判断した患者を対象に、治験実施医療機関にて本アプリを併用して診療する介入群と生活習慣指導シートと体重記録シートを併用して診療する対照群に分け行う。登録後48週時点での有効性と安全性を検証する。主要評価項目は、登録後48週時点において、肝線維化の増悪を伴わないNASHが改善した患者の割合を評価する。

同アプリを用いることで、治療空白期間において個々の患者に最適化された治療ガイダンスの提供が可能となり、患者は生活習慣の修正と定着を図ることができる。日々の治療経過は医師アプリを通して医師とも共有されるため、より患者にカスタマイズされた診療を限られた時間内で効率よく行うことにも寄与する。既に、同アプリによるNASHに対しての治療は多施設共同の探索的臨床試験にて、試験開始時に比べて統計学的に有意な改善が示されているという。

会見で佐竹社長(写真)は、「治療アプリとしての新しい領域というだけでなく、医薬品が存在していないNASHという領域での治験開始は、肝臓におけるNASHという新しい治療の領域でも大きな意義がある」と述べ、未だ治療薬のない生活習慣病NASHの世界初のアプリによる治療法確立を目指す考えを示した。今後の薬事承認や保険適用の見通しは「具体的な時期についてはコメントを控えたい。ただ、これまで開発した禁煙や高血圧の治療アプリの治験のスピードをみると、当社のノウハウも溜まっており、他の治験に比べると早く進められるのではないか」と述べた。一方、会見に同席したサワイグループホールディングスの澤井光郎会長兼社長は、「本アプリがNASHに対する確立された治療法となり、現状の課題を解決し、患者のみならず医師をはじめとした臨床現場の方々の役に立つことを期待している」と述べた。

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