訪問看護STのオン資・オン請求について周知、経過措置の猶予届出は10月31日までにーオンライン説明会(2024年9月24日)
厚労省は9月24日、「訪問看護ステーション向けオンライン資格確認・オンライン請求の導入に関する説明会」をオンラインで開催した。訪問看護ステーション(訪問看護ST)で令和6年6月から運用開始されている「オンライン請求(オン請求)」と「オンライン資格確認(オン資)」について、今年12月2日からはこれらが原則義務化されることを踏まえて説明した。
義務化の経過措置対象施設は、10月31日までに「猶予届出書」を提出する。システム導入の補助金の上限は42.9万円で、2024年11月30日までにオン資の導入を完了し、2025年5月31日までに申請する。2024年10月からはマイナンバーカードの顔写真を用いた目視確認による本人確認が可能となる。
医療機関・薬局のオン資については、令和5年4月から原則として導入が義務づけられた。また、オン請求については、「オンライン請求の割合を100%に近づけていくためのロードマップ」に基づき、「光ディスク等を用いた請求」を行っている施設については、令和6年9月末までに原則としてオンライン請求へ移行することとされた。移行にあたっては、「光ディスク等を用いた請求」に対する新規適用は令和6年4月に終了し、9月以降も光ディスク等による請求を続けようとする施設は、オンライン請求への移行計画を作成し、届け出ることが必要となっている(1年更新制)。
訪問看護STのオン資・オン請求は12月2日から義務化
訪問看護STのオン資およびオン請求は、令和6年6月1日から(請求は7月請求分から)開始された。また、マイナ保険証を原則とする12月2日から(請求は12月請求分から)は義務化されることが、「保険医療機関及び保険医療養担当規則等の一部を改正する省令」(令和5年11月30日厚生労働省令第147号)および「訪問看護療養費及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令の一部を改正する命令等の公布について」(保発1130第3号)等により決まっている。
なお、令和6年12月2日時点で、やむを得ない事情がある訪問看護STについては、オン資の場合は下表の①から⑥に該当する場合に、オン請求は下表の②から⑥に該当する場合に、それぞれ期限付きの経過措置の適用を受けることができることとなっている。
経過措置対象の訪問看護STは10月31日までに猶予届出書を提出
上表の経過措置の対象となる訪問看護STは、令和6年10月31日までに、原則として、「医療機関等向け総合ポータルサイト」に開設されている「届出フォーム」から、訪問看護STごとに届出を行うことで、期限付きの経過措置の適用を受けることができる。なお、上表の②の「システム整備中」の届出には、システムベンダとの契約日や契約者双方を確認できる契約書・注文書等の添付が必要となる。
また、上表の①の「電気通信回線設備に障害が発生した場合」に、オン請求のみの経過措置の届出を行う場合は、医療機関等向け総合ポータルサイトから提出するのではなく、紙媒体の猶予届出書を、請求と同時に、都道府県の診療報酬支払基金(支払基金)および国民健康保険団体連合会(国保連)の両方に提出する必要がある。
補助金は11月30日までにオン資導入したうえ、令和7年5月31日までに申請―補助金上限は42.9万円
訪問看護STのオン資導入に必要な費用については、医療情報化支援基金から財政支援が行われる。
補助の対象となるのは、①マイナンバーカードの読取・資格確認等のためのモバイル端末等の導入、②ネットワーク環境の整備、③レセプトコンピュータ、電子カルテシステム等の既存システムの改修――となっている。また、オン請求の開始に向けて準備が必要な機器等の一部は、オン資と兼用することが可能である。
補助金額は、基準とする事業額42.9万円を上限に、実費(10/10)が補助される。
なお、指定訪問看護事業者による補助金申請は、令和6年2月から医療機関等向け総合ポータルサイトで申請受付が開始されているが、補助金を受けるためには、①令和6年11月30日までにオン資の導入を完了したうえで、②令和7年5月31日までに申請を行う必要がある。
ただし、経過措置の対象となる場合の導入完了期限および申請期限は以下のとおりとなっている。
2回目以降の訪問看護・訪問診療において、再照会での資格確認と初回同意に基づく薬剤情報等の取得が可能に
訪問看護や訪問診療におけるオンライン資格確認については、「居宅同意取得型」の仕組みを活用する。継続的に訪問看護・訪問診療が行われている間については、2回目以降の訪問において、訪問看護ST・医療機関側で再照会をすることで、資格情報の照会や取得が可能となる。そのため、効率的な資格確認が可能となるほか、初回時の同意に基づき、薬剤情報・診療情報等の取得も可能だ。
訪問看護や訪問診療では、医療関係者が利用者宅等を訪問することから、利用者のなりすましリスクが低い。そのため、2回目以降の訪問では、訪問看護STや医療機関との「継続的な関係のもと訪問看護や訪問診療が行われている間」は、「再照会機能」を活用した資格確認を行うとともに、薬剤情報や診療情報等については、初回時の同意に基づき取得可能な仕組みとなっている。
なお、「継続的な関係のもと訪問看護や訪問診療が行われている間」とは、「初回訪問から3か月を経過する日の属する月の末日まで」のことで、さらにこれを継続する場合は、初回訪問から毎月、訪問看護や訪問診療が継続していることを、レセプト請求の審査結果から確認することとなっている。
また、「再照会機能」とは、あらかじめ訪問看護STや医療機関において、初回にマイナンバーカードの本人確認により取得した利用者の資格情報を用いて、オンライン資格確認等システムに最新の資格情報を照会し、取得する機能のことをいう。
10月からマイナ資格確認アプリで「目視確認」による資格確認が可能に
令和6年10月からマイナンバーカードの顔写真と利用者の顔が同一であるかを確認(目視確認)することで、資格情報の確認ができるようになった。
これまでは、モバイル端末等から「マイナ在宅受付Web」にアクセスして、「暗証番号(4桁)入力(ピン入力)」による本人確認しかできなかったが、10月からは、モバイル端末等から「マイナ資格確認アプリ」を用いて、マイナンバーカードの顔写真と利用者の顔が同一であるかを「目視確認」することで本人確認が可能となった。
また、対応デバイスとして、今まではiPadは未対応だったが、10月からはiPadにも対応済みとなっている。
なお、引き続きマイナ在宅受付Webを利用することも可能だが、その場合は、目視確認による本人確認や、iPadは利用できないことに注意が必要である。
オン資「運用開始日の入力」は、訪問看護医療DX情報活用加算の届出要件
マイナンバーカードの健康保険証利用に対応する訪問看護STを確認できるよう、厚生労働省のホームページでオン資格導入済みの訪問看護STのリストを掲載している。このリストに掲載するため、オン資の導入・運用開始の準備作業が完了した時点で、「医療機関等向け総合ポータルサイト」の「オンライン資格確認の運用開始日入力」ページより、運用開始日の入力を行う必要がある。この「運用開始日の入力」は、令和6年度診療報酬改定で新設された「訪問看護医療DX情報活用加算」の届出に係る要件の一つとなっている。