再生医療等製品の承認取下げ・薬価基準等削除が続く(2024年8月7日)
中医協は7日の総会で、再生医療等製品の「ハートシート」(テルモ株式会社)に製造販売の承認が与えられず、期限付きで適用されていた材料価格基準から削除することについて報告を受けた。7月3日には、コラテジェン(アンジェス株式会社)の薬価基準からの削除が報告されており、再生医療等製品で期限付きの承認を受け臨床試験の成績を再現できず、承認取り消しとなるケースが続いている。
再生医療等製品は、人の細胞を用いることから、個人差を反映して品質が不均一となるため、有効性を確認するためのデータの収集・評価に長時間を要するという問題がある。そこで、一定数の限られた症例から、短期間で有効性を推定し、条件・期限を付して承認。市販後に有効性、さらなる安全性を検証して期限内に再度承認申請を行う期限付き承認制度がある。
「ハートシート」はヒト(自己)骨格筋由来細胞シートで、標準治療で効果不十分な虚血性心疾患による重症心不全の治療を適応症としていた。しかし、テルモ株式会社が承認申請を取り下げる承認整理を7月25日に行ったため、厚生労働省は医薬機審発0725 第1号で通知した。これを受け、保医発0725第4号により材料価格基準から削除する材料価格基準等の一部改正を準備している旨が伝えられた。
承認申請取り下げに至った理由は、薬事審議会再生医療等製品・生物由来技術部会の審議において、有効性が推定されるとした条件と期限付承認時の判断は否定されないものの、その後実施された臨床研究の結果では、有効性を確認できなかったためである。
日本医師会の長島公之委員は、再生医療等製品の期限付き承認制度で、承認取り消しが続いたことについて、保険適用のあり方について改めて検討が必要になるとの考えを示した。健康保険組合連合会理事の松本真人委員も、「再生医療等製品は高額なものが多い」ことを踏まえ、同様に期限付き承認制度のあり方の議論を求めた。