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経常収支▲6578億円の赤字見通し 健保連の令和6年度予算集計(2024年4月23日)

健保連は4月23日、厚労省内で会見を開き、令和6年度健康保険組合予算編成状況の早期集計結果を発表した。健保連に報告のあった1353組合の予算数値をもとに、4月1日時点に存在する1379組合の財政状況を推計したもの。集計によれば赤字組合は全体の9割弱を占め、経常収支は▲6578億円で大幅な赤字の見通しとなった。

保険料収入+4.5%に対し保険給付費+6.2%の見込み

令和6年度予算の経常収支は、経常収入9兆53億円(対前年度比+4.5%)、経常支出9兆6631億円(同+5.3%)で、収支差引額は▲6578億円の赤字となる見通し。経常収入では保険料収入が全体の98.7%を占めた。一方、経常支出では全体の構成比を見ると、①保険給付費52.5%②後期高齢者支援金23.6%③前期高齢者納付金16.6%④保健事業費4.8%―となった。

保険料収入は対前年度比4.5%(+3811億円)増加の見込み。一方、保険給付費は令和4年度と5年度における医療費の高い伸びや著しい変動が懸念材料となり、6.2%増(同+2945億円)と、例年に比べ高い見込みとなった。

義務的経費(法定給付費+高齢者等拠出金)に占める拠出金負担割合は43.8%(令和5年度44.2%)と前年度より減少した。

保健事業に対前年度比+1.8%を計上

負担割合が50.0%以上の組合は、全体のうち17.7%の239組合だった。

高齢者等拠出金は、団塊の世代が75歳に到達する影響により+4.6%増(+1701億円)で3兆8774億円。そのうち後期高齢者支援金は+3.8%(+835億円)、前期高齢者納付金は+5.7%(+866億円)。データヘルス計画など、加入者の健康維持・増進のための保健事業は、対前年度比+1.8%(+81億円)を計上した。

令和6年度に新設された「出産育児交付金」は41億円を計上した。

「依然として厳しい財政状況」

健保連の佐野会長代理は「給付は高齢者、負担は現役世代という仕組みはもはや限界に近付いている」現状への危機感を示した。6年度予算については「6年度春闘による賃上げなどプラス要因もあることから、決算ではよい結果を期待している。しかし、予算編成において大幅な赤字であり覆ることはないだろう。依然として厳しい財政状況に変わりはない」との考えを示した。

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