認知症治療薬の高額化対応方針を中医協が承認(2024年11月13日)
高額薬剤による市場規模の拡大が予想される認知症分野の医薬品について、医療保険財政への影響を可能な限り抑えるための対応方針が11月13日の中医協総会(小塩隆士会長)で承認された。対象となる薬剤は、エーザイの「レケンビ点滴静注」と日本イーライリリーの「ケサンラ点滴静注液」。
対応方針には以下の主な対策が含まれている。
市場拡大再算定
薬価収載後の投与全症例を対象とした使用成績調査の結果と、NDB(全国医療データベース)を活用した四半期ごとのデータを基に、再算定の適否を判断する。
価格調整
費用対効果評価の結果に基づき、薬価を調整する。
副作用対策
最適使用推進ガイドラインに基づき、留意事項通知などで迅速な対応を可能にするための必要事項を明示する。
投与開始後12カ月を目安にアミロイドPET検査を実施 ケサンラのガイドライン
ケサンラ(成分名=ドナネマブ)は同日、薬価が承認され、11月20日に収載された。効能・効果は「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度認知症の進行抑制」で、薬価は1瓶(350mg 20mL)あたり6万6948円。
用法・用量は1回700mgを4週間隔で3回、その後は1回1400mgを4週間隔で投与する。
同日、厚生労働省が説明したケサンラに関するガイドラインでは、投与施設に以下の要件が求められた。
MRI検査の実施能力
1.5テスラ以上のMRI検査を実施可能であること。
ARIAへの対応
アミロイド関連画像異常(ARIA)が認められた際、画像所見や症状の有無から投与の継続可否を判断し、必要な対応ができること。
さらに、投与開始後12カ月を目安にアミロイドPET検査を実施し、投与の「完了」または「継続」を判断すると明記。アミロイドβ(Aβ)プラークの除去が確認されなかった場合、最長18カ月まで投与を継続できるとされた。
なお、アミロイドPET検査2件の保険適用も承認された。