身体的拘束ゼロへ取組みを推進 報酬改定を踏まえ 日慢協(2024年8月22日)
日本慢性期医療協会の橋本康子会長は8月22日の会見で、令和6年度の診療報酬改定を受け、身体的拘束の最小化およびゼロへ向けた取組みを推進する考えを強調した。
令和6年度診療報酬改定により、身体的拘束最小化に関する基準が達成されない場合は入院基本料などから1日につき40点の減算となる。これについて橋本会長は「身体的拘束最小化に向けて体制整備が必須」との認識を示した。加算点数が上がる一方で、身体的拘束時の減算が拡大した認知症ケア加算については、「身体的拘束の有無は経営に与える影響が大きい」と述べた。
また、医療現場では身体的拘束の最小化に向けて、①技術の向上②法的リスクに備える手続きの強化――が求められるとした。
技術の向上に関しては「難しい技術ではなく(技術を)知っているか知らないかの違いだ」と指摘し、日慢協の会員病院では「身体拘束ゼロ」を実践している病院が少なくないと紹介。さらに、10月には技術を習得できる場を同協会が設ける予定だと述べた。
現行の算定要件は「時間を短くする方向へ意識が向かない」
法的リスクに関しては、「身体拘束をしたことの違法性」と「しなかったことの違法性」の両方について判例がある。手続きを定め、本人・家族等の関係者との密なコミュニケーションを図ることが必要だと強調した。
また、認知症ケア加算の算定要件で、身体的拘束が拘束時間によらず1日単位での減算となる現行制度については、「拘束時間が長い場合と短い場合で減算が同じなら、時間を短くする方向へ意識が向かないのではないか」と指摘し、減算を1日単位から時間単位に見直すべきだと提言した。