一般用医薬品は従来の3区分を維持 薬剤師の関与を明確化(10月31日)
厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会は10月31日、薬機法等改正に向け、少子高齢化やデジタル化に対応した医薬品販売制度について議論した。一般用医薬品のリスク分類に基づく現行の3区分は維持する。販売における関与のあり方については指針等により明確化する。
一般用医薬品の販売区分については、今年1月に取りまとめを行った「医薬品の販売制度に関する検討会」において、第1類から第3類までの販売区分を廃止し、2区分に見直す提案がされていた。しかし、購入者へのおよそのリスクの程度の分かりやすさ、説明のしやすさから、既存の3区分を維持することとした。ただし、販売時における薬剤師等の関与のあり方の明確化を図る。
一般用医薬品は薬剤師等専門家による販売が義務とされているが、販売時において具体的にどのような対応を行うべきかについて、①情報提供②相談があった時の対応に関しては法令において示されている一方で、それ以外の全般的な対応(専門家の関与)については、統一的に示していないことから今般、指針により明確化をはかる。
専門家の関与のあり方の指針として次のイメージが示されている。これらの具体的な内容について厚生労働科学研究で検討し、応答事例等も含めた形で指針として明確化する。
また、薬剤師等の専門家の関与により販売可否にかかる判断等が行われる場合として次の具体例が考えられる。
処方箋医薬品以外の医薬品の販売は「やむを得ない場合」のみ認める
処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売については、医師の処方によることを原則として、やむを得ない場合にいわゆる零売薬局を含む薬局での販売を認める。
「やむを得ない場合」の具体例として「医師に処方され服用している医療用医薬品が不測の事態で患者の手元にない状況」等が示されている。
いわゆる零売薬局における処方箋医薬品以外の医薬品の販売は、緊急時の医薬品のアクセスを確保するための必要な行為である側面があることを踏まえ、今後、必要性が認められる「やむを得ない場合」の事例を示すとともに、そのような際の対応事項について整理して示す。
特殊事情があるものとされる漢方薬の扱いにも配慮しつつ、対応を進める。
濫用おそれの医薬品、20歳未満には複数・大容量は販売しない
濫用等のおそれのある医薬品については、若年者を中心に一般用医薬品の濫用が社会問題化しており、啓発等も含め対策が行われている。一方で、現状の販売規制(薬局等の遵守事項として、省令により、若年者に氏名年齢の確認をする、適正使用に必要な量(原則として1包装)のみの販売とし、それ以上購入する場合には理由を確認する)では遵守状況を含め不十分な状況であり、実効性を高める必要がある。
濫用等のおそれのある医薬品の販売については、従来通り顧客の手の届かない場所への商品陳列を原則とする。ただし、指定第二類医薬品と同じく、薬剤師等から目の届く範囲である概ね7メートルに陳列して販売することも可能とする。
購入者記録の作成・保管については、現行制度のままで義務化しない。一方で身分証の確認、留意すべき購入希望者への対応等がより効果的になるよう、省令にもとづく業務手順に対応方法を位置づける。
より具体的な方策としては、指定する成分を含有する市販薬(医療用医薬品以外の医薬品)の販売方法(必要事項の確認等)について、薬局等の遵守事項から独立させた規定として法令上整備する。
原則として小容量1個の販売とし、20歳未満の者に対しては複数個・大容量の製品は販売しない。購入が「複数・大容量」の場合、対面販売かつ購入者が成人であっても氏名等の確認を義務づける(下表)。
日本チェーンドラッグストア協会理事の森信参考人は、今回の制度見直しにあわせて、医薬品販売にかかる標準的な手順書を含む適正な販売を徹底するための業界としてのガイドラインを策定する考えを示した。