修了看護師の活動事例を報告 日看協が特定行為研修シンポジウム(2024年2月26日)
日本看護協会は2月26日、看護師の特定行為に係る指定研修機関連絡会と共催で「2023年度特定行為研修シンポジウム」をオンラインで開催した。「院内から地域へ特定行為研修修了者の活躍を考える」をテーマに、在宅医療分野での特定行為研修修了看護師の活動事例が報告された。
シンポジウムでは、神野正博氏(社会医療法人財団董仙会理事長)と木澤晃代氏(日本看護協会常任理事)を座長に、齋藤勝也氏(医療法人社団勝優会するがホームクリニック医師)、林尚三氏(公益社団法人有隣厚生会藤病院クリティカルケア認定看護師)、小林由佳氏(医療法人社団ゆみの ゆみのハートクリニック特定行為研修修了者)、中山久実氏(社会福祉法人聖隷福祉事業団法人本部人事企画外部事業課)の4名が発表を行った。
齋藤氏は、在宅専門医療機関の医師として「訪問診療とは看取り支援と入院抑制」との考えに基づき、ICTを活用しながら特定行為研修修了看護師とともに行っている訪問診療について説明。
そのなかで感じたメリットとして、◇訪問診療時間の短縮◇それに伴う受け入れ患者の増加◇医学管理に集中できる(外来で質の高い医療を提供できる)◇診療報酬のアップ―をあげた。
林氏は、特定行為研修を修了し、指定研修機関の責任者を務める。院内外の特定行為の実践のため、4名がローテーションで特定行為に専念する担当日を設け、病棟内外のケアにあたっていると説明した。地域包括ケアの実践には、キーパーソンになりうる修了者を地域で育てる仕組みづくりの重要性を強調した。
小林氏は、ICTを用いたテレナーシングセンターで看護管理者として心不全患者の療養支援を行う。そのなかで、特定行為研修を修了したことで臨床推論力や包括的アセスメント能力が向上したほか、修了者が管理者になることで、手順書を共通理解し、リスクマネジメントと心理的安全性を担保しながら現場の修了者を支援できるとした。
中山氏は、研修機関として看護師が受講しやすい研修づくりや、特定行為が必要な患者を訪問看護の修了者へつなぐ仕組みづくりの取組みを紹介。院外へのアウトリーチについては、特に退院調整や外来時の訪問診療導入のタイミングに確実に連携することが重要であり、そのためには医療機関で特定行為研修修了者が活躍していることが重要だとした。