支払基金、審査結果の差異解消に向けた統一事例の36事例を公表(2024年2月27日)
社会保険診療報酬支払基金は2月27日の会見で、「支払基金における審査の一般的な取扱い(医科)」を発表した。厚労省の審査支払機能に関する改革工程表に示された審査結果の不合理な差異の解消に向けた取組みとして、従前の支部取決事項について支払基金の「審査の一般的な取扱いに関する検討委員会」等において検討の結果、36事例を情報提供している。同29日の支払基金のホームページで公表する。【社会保険旬報編集部】
36事例の内訳は、「WT1mRNAの算定」など検査が9事例、「家族性高ステロール血症でのアキレス腱に対する画像診断の算定」など画像診断が2事例、「トリプタン系片頭痛治療薬の算定」など投薬が7事例、「ヘパリンナトリウム(ロック製剤)の算定」など注射が4事例、「呼吸器リハビリテーション料の算定」のリハビリテーションが1事例、「便秘症の病名がない場合の高位浣腸及び摘便の算定」など処置が4事例、「大動脈バルーンパンピング法(IABP法)と他の手術の併算定」など3事例となっている。
会見で北波孝理事長特任補佐(写真)は、「2021年3月に厚労省の審査支払機能のあり方に関する検討会から支払基金における審査の統一、国保との審査の統一を目指すべきとの提言を受け、その後国保側とのさまざまな調整を行い、今回36事例を第9次の統一事例として提供した」と述べた。
また、同26日には審査情報提供事例として、医科は厚労省医療課からの依頼による薬理作用に基づく医薬品の適応外使用事例について医薬品5事例、歯科は都道府県審査委員会の取扱いが収斂した事例について1事例を公表していることを報告した。
6年度事業計画、「安定稼働の実現」と「医療DXの取組みの抜本的強化」
一方、同会見では支払基金の令和6事業年度の事業計画案を発表した。事業計画では、基本方針として①新生支払基金の安定稼働の実現②マイナ保険証の利用環境の整備と医療DXの取組みの抜本的強化―を掲げた。
新生支払基金の安定稼働の実現に向けては、「本格稼働した新組織を安定稼働に移行させる」とし、①安定稼働の基盤を整備するため、財政面において新たな積立預金を設置するとともに、人事面において持続可能な人事戦略を検討する②職員の仕事に対する希望・能力・適性を最大限に尊重した働きがいのある職場環境づくりを目指し、キャリアパスの導入や人事評価制度の見直しを検討する③安定稼働に向けた更なる業務の効率化を進めるため、オンライン請求への移行を積極的に推進するとともに、再審査事務の抜本的見直しを検討する―とした。
マイナ保険証の利用環境の整備と医療DXの取組の抜本的強化では、①健康保険証の新規発行終了を見据え、中間サーバー及びオンライン資格確認等システムを安定的に運用するとともに、多様な場面において資格確認が可能となるよう、オンライン資格確認等システムの機能を拡充する②医療DXの取組の抜本的強化に向けて、組織体制の充実やエキスパートの育成を積極的に進め、抜本的な改組へ的確に対応する―としている。