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武見厚労相と三師会・日病会長、賃上げやマイナ保険証利用で意見交換(2024年5月24日)

武見敬三厚生労働大臣は5月24日、賃上げ対応やマイナ保険証の利用促進策について日本医師会・日本歯科医師会・日本薬剤師会・日本病院会の4団体の会長と意見交換した。武見大臣は令和6年度診療報酬改定の6月施行を前に、賃上げや医療DXの取組みが進むよう医療機関・薬局への働きかけを要請した。

厚労省からは武見大臣と伊原和人保険局長、医療団体からは日医の松本吉郎会長、日歯の高橋英登会長、日薬の山本信夫会長、日病の相澤孝夫会長が出席した。

武見大臣は「今回の診療報酬改定のなかでも特に賃上げ対応と医療DXの推進が重要な課題」と強調。

賃上げ対応では「厚労省としては、できるだけ多くの医療機関にベースアップ評価料の算定を届け出てもらい、初再診料等の引き上げ分とあわせて、それを原資に医療現場のみなさんの賃上げを進めてほしい」と述べた。これまで説明動画の作成やオンラインセミナーの開催、届出作成支援ツールの提供、ベースアップ評価料Ⅰの届出期限の延長などを実施してきたことに触れ、「届出の準備を進めてもらいながら、6月からベースアップ評価料Ⅰを算定してもらうようお願いしたい」と述べた。

マイナ保険証の利用促進については「4月に過去最高の1200万件を超えたが、利用率は6.56%で、さらなる底上げが必要だ。6年度改定では医療DX推進体制整備加算を新設した。6月からの算定を検討し、これまでの受付事務のあり方を見直してマイナ保険証利用の声掛けにもぜひ協力いただきたい」と要請した。

武見大臣の発言に対し、松本会長は「より多くの医療機関がベースアップ評価料を算定・活用して、職員の賃上げを実現できるよう、引き続き、全国の医療機関に周知徹底していく」と述べた。相澤会長は「今回の改定は病院経営の赤字が続くため、引き上げたくても引き上げられなかった職員の給与を引き上げる絶好の機会だ。今回のような改定は初めてで現場では戸惑いもあるが、新設されたベア評価料や入院基本料の引き上げを原資に、着実に賃上げを成し遂げていきたい」と述べた。

賃上げ等に関する意見交換を行う武見厚労相と医療関係団体代表=5月24日

ベア評価料の算定手続き「わかりにくい」

一方、武見大臣はベースアップ評価料の届出が進まない理由を尋ねた。

松本会長は「特に診療所レベルで人事労務や経理のしっかりとした担当者がいないところでは、算定手続きがわかりにくいという声はある。私もやってみたが、なかなか難しい。セミナーを開いてもらったが、わかりにくいことがネックだ」と述べた。

相澤会長は賃上げの計画書の提出について「病院はさまざまな職種が働いているため、今回の改定では総務部や人事部で働いている職員の給与を上げる原資がない。そこの職種だけ上げないわけにはいかないので、計画書を出すと病院の出費が増える。持ち出し分を少なくしつつ、給与の改善を図るかにみんな苦慮している」と述べた。

終了後、記者団に対して相澤会長は、「どこまで職員の賃上げの対象をするかによって、下手をすると、いただいたお金以上のお金を病院の持ち出しで出さないといけなくなり、病院経営がさらに苦しくなる。そのような悩みを持つ会員もいるため、できれば厚労省内に相談窓口を置いていただけるとありがたい」と要望した。

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