日医松本会長、地域別単価など財務省提案に反論(2024年4月17日)
日本医師会の松本吉郎会長は4月17日の会見で、財務省が財政審に提示した医療制度改革の考え方に反論した。診療報酬で診療所の不均衡を調整しようとする財務省の主張は不合理なものとして反対の立場を強調した。
松本会長は、診療所の不足地域と過剰地域で異なる単価を設定するという財務省の提案について、「わが国は公的医療保険のもと、誰もがどこでも一定の自己負担で適切な診療を受けられることを基本的な理念として、診療報酬は全国一律の点数が公定価格として設定されている。今後もこの制度を維持していくことが大切だ」と訴えた。
その上で、「医療機関の分布は、人口に応じて現在の形に落ち着いたものだ。診療所の過不足に応じて診療報酬を調整する仕組みは、わが国の人口分布の偏りに起因するものを、あたかも医療で調整させるようなもので、極めて筋の悪い提案だ。断じて受け入れられるものではない」と反対した。
財務省提案は賃上げを阻むもの
2025年度以降の政府予算編成に当たって、社会保障関係費の歳出の目安を継続すべきだとの財務省の主張に対しては、「社会保障費の伸びを高齢化の伸びの範囲内に抑える対応は、デフレ下の遺物」と述べた。「賃上げやデフレ下において、高齢化の伸びというシーリングに制約されるべきではない。歳出の目安を示すことは、人件費に上限を設けるようなものであり、政府が重要政策に位置付ける賃上げを阻むといっても過言ではない」と批判した。