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令和5年度健保組合予算集計、5623億円の大幅な赤字に(2023年4月20日)

健保連は4月20日、厚労省内で会見を開き、令和5年度健康保険組合予算編成状況の早期集計結果を発表した。赤字組合は全体の約8割を占め、経常収支差引額は▲5623億円の大幅な赤字となることが分かった。

会見で予算編成状況の早期集計結果について説明する健康保険組合連合会の佐野雅宏副会長(左から2人目)=4月20日

令和5年度予算の経常収支は、経常収入8兆6161億円、経常支出9兆1784億円で、▲5,623億円の赤字となる見通し。

組合数は1380組合。各組合が設定した保険料率の平均料率(単純平均)は、前年度に比べ0.01ポイント増の9.27%。収支均衡に必要な実質保険料率は0.25ポイント増の10.10%と初めて10%を超えた。なお、設定料率が協会けんぽの平均料率(10.00%)以上の組合は309組合(全体の22.6%)と約2割占めている。

赤字組合は、前年度予算に比べ130組合増加して1,093組合(構成比:79.2%)となり、赤字総額は▲2,315億円増の▲6,028億円となる見通し。一方、黒字組合は、137組合減少して287組合(同20.8%)となり、黒字総額は503億円減の405億円。

令和5年度に料率を引き上げた組合は、報告のあった1366組合のうち135組合、引き下げた組合は98組合、変更なしは1133組合となっている。

後期高齢者支援金が急増

保険料収入は対前年度比2.8%(+2,317億円)の増加。一方、保険給付費は5.5%増(+2,475億円)と、令和4年度(同5.5%)に引き続き、依然、高い伸びを維持。高齢者等拠出金は、4年度の一時的な減少(▲5.7%)の反動から7.3%(+2,523億円)の増加。特に後期高齢者支援金が9.9%(+1,967億円)と急増している。

令和4年4月~令和5年1月の医療費(健保組合)は、医科7.3%(入院外13.0%、入院▲2.4%)、調剤5.0%と依然、高い水準で推移しており、令和5年度以降も、新型コロナ感染拡大等の影響が不透明であり、変動が著しい医療費の動向を引き続き注視する必要があると分析している。

また、高齢者拠出金が令和6年度以降、毎年増加するなか、賃金引き上げによる保険料収入への効果が予測し難く、今後の財政影響が懸念されるとした。

会見で佐野雅宏副会長は、大幅な赤字予算について「最大の要因は高齢者医療等の拠出金の増加であることは間違いない。団塊の世代が後期高齢者になったことから高い伸びとなっている」と述べた。

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