日慢協の橋本会長が食事療養費の増額を要望(2023年5月18日)
日本慢性期医療協会の橋本康子会長は5月18日の会見で、病院給食の改善に向けて長年据え置かれている食事療養費の増額を要望した。
橋本会長は、入院患者の栄養状態について「急性期治療中に低体重・低栄養になり、回復期などの慢性期へもその状態で入院し、改善できずに退院している。回復期入院中も体重減少、低栄養は進行しており、そこには食事の全量摂取患者も含まれている」と指摘。体重減少・低栄養の要因については「体重減少はカロリー不足から生じるが、そもそもの基準栄養量の不足や高齢化などによる摂取量自体の不足がある」と述べた。
病院基準食については「入院患者の年齢構成を加味した食事摂取基準より作成されるが、リハビリや体重増に必要な栄養量を満たしていない」と述べ、病院基準食の設定は高齢女性の多い病院では1500~1600キロカロリーとしているが、リハビリ消費や筋力をつけるために必要なエネルギーを考えると、1日当たり2000キロカロリーは必要であることを示した。
必要な栄養量を満たす方策としては、全量摂取困難な患者には1品あたり栄養量の増加や食事回数の頻回化をあげるとともに、食事自体が美味しくなければ摂取量が減少するために食欲を増進する工夫を求めた。
一方、現在の食事療養費1食当たり640円は1998年度から変更されていないことをあげ、「25年前から変わっていない。人件費増や物価高騰で栄養部門の改善余地は限界にある」と強調。
その上で、「栄養管理は寝たきり防止への重要施策。摂食機能の強化に加え、栄養量や食欲改善に向け何とか改善したいが原資がない。ぜひとも食事療養費の増額をお願いしたい」と要請した。