エムポックスで国内初の死亡例を公表(2023年12月13日)
厚労省は12月13日、国内初となるエムポックス患者の死亡例が確認されたと公表した。患者は30歳代男性。9月に診断を受け、11月に亡くなった。海外渡航歴はなく、病歴としてHIV感染による免疫不全があった。
エムポックスの多くは自然軽快するが、小児や妊婦、免疫不全者で重症となる場合がある。国内では2022年7月に1例目の患者が確認され、今年12月8日現在で227例の症例が確認されている。厚労省によれば症例の多くが無症状か軽症であり、重篤に至った報告はこれまでのところ本事例が初めて。
厚労省は、発熱や発疹等、体調に異常がある場合には身近な医療機関に相談するとともに、手指消毒等の基本的な感染対策を行うよう呼びかけている。また、特定の集団や感染者等に対する差別や偏見により人権を侵害しないよう注意を促している。
エムポックスは感染症法上の4類感染症であり届出義務の対象。従来は「サル痘」と呼ばれていたが、地名や動物の名前を使用しないWHOの方針に則って、本年5月の感染症法施行令の改正により名称が変更された。
エムポックスウイルスはコンゴ盆地型(クレードⅠ)と西アフリカ型(クレードⅡaおよびⅡb)の2系統に分類されるが、死亡率がより高いとされるクレードⅠは現時点でアフリカ大陸以外では報告されていない。