かかりつけ医機能の制度整備に本格着手――自治体への報告内容の基準で意見分かれる(2024年5月24日)
厚労省の「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」は5月24日、かかりつけ医機能の制度整備について本格的な議論を開始した。医療機関がかかりつけ医機能を有するかどうかを判断するために必要な報告内容について、対応可能な診療機能を症状別とするか診療領域別とするかで、委員の意見が分かれた。
かかりつけ医機能報告では、対象医療機関が都道府県に1号機能と2号機能を報告する。1号機能では主に医師の意向や診療機能を確認し、2号機能では時間外診療や入退院支援、在宅医療などのかかりつけ医機能を連携して確保できるかを確認する。
厚労省は報告事項について複数の案を提示した。このうち、1号機能については次の2つの案があり、意見が分かれた。
臨床研修の到達目標である35項目の症状について、症状ごとの対応可能の有無を報告する。
17の診療領域いずれかについて一次診療を行えること、患者からの相談に応じられることを報告する。
保険者は対応できる症状の報告を支持
患者団体や保険者の委員は症状別の報告を支持した。「診療科は標榜されており、それ以外に対応可能な症状を明らかにしたほうが患者にとって分かりやすい」(COML・山口育子委員)、「かかりつけ医機能報告の最大の目的は医療機関の選択に資すること。医療機関がどの症状に対応できるかが明確になれば、患者が選ぶ際にも効果的」(健保連・河本滋史委員)といった意見が出た。
一方、医療団体は現場の実情を踏まえ、診療領域別の報告が妥当と主張した。「症状は主観的で、現場では分かりづらい」(日本医師会・角田徹委員)、「現場に大きな混乱を招く可能性がある」(日本医師会・城守国斗委員)、「参加意向のある医療機関がすべて参加できる制度づくりを目指すべき。スタート時から間口を狭めてしまうと、参加する医療機関が限定され、かかりつけ医機能が何も動かなくなる」(全日本病院協会・織田正道委員)と意見を述べた。