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令和臨調が社会保障で提言 医療・介護保険改革で年間1兆円圧縮可能(2023年12月1日)

令和国民会議(令和臨調)は12月1日、都内で会見を開き、提言「将来も安心な日本の医療・介護を考える―持続的な制度の実現に向けた改革」を発表した。保険適用範囲の見直しや医療・介護費の適正化などを実行することで、年間1兆円以上の社会保障費の圧縮が可能と推計している。令和国民会議は、経済界・労働界・学識者などの各界有志で構成する政策提言組織。【社会保険旬報編集部】

保険診療から選定療養への変更を推進

提言では医療・介護の給付の適正化に向けて、改革の具体策が示された。

「価値の高い医療・介護を提供するための医療・介護保険の適用範囲の見直し」では、有効性や必要性の乏しくなった保険診療を選定療養に変更すること、軽度な治療薬であるOTC類似薬等の保険給付範囲と償還率の見直し、高齢患者の多剤服用では治療効果のない服薬は減薬を進めることなどを提示した。

かかりつけ医の認定制度を構築

「医療・介護の機能分化と連携、報酬体系見直しによる入院医療費等の適正化」では、かかりつけ医の認定制度構築や、地域医療構想において地方自治体の権限強化による機能分化と連携促進などをあげた。

これら医療提供体制の整備には、報酬体系の構造的な改革も必要だとして、①プライマリ・ケアは従来の出来高払いを、一人あたり包括払いに変更する②登録したかかりつけ医以外の医療機関を受診する場合に、ワンコインの定額負担を導入する③入院医療について1日あたりの包括払いを1入院当たりの包括払いへ変更する――を提案した。

今回の提言では子育て財源確保に向けた「徹底した再出改革等」の議論も念頭に置き、施策を例示したと言及。また、改革案を実施できれば試算可能なものだけで少なくとも年間1兆円以上の社会保障費の圧縮が可能と推計している。

「負担のあり方の提案も」

翁百合共同座長(日本総合研究所理事長)は給付と負担のあり方について、「意識調査から、医療費・介護費に過剰な費用が掛けられているという結果が見られる。信頼される医療・介護制度のためには、提言で触れた課題を解決しながら議論していかなければならない」と述べた。

今後の活動について平野信行共同座長(三菱UFJ銀行特別顧問)は、「負担のあり方も具体的な提案をしていく」との考えを示した。


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