自殺者数は2万人超で横ばい 令和6年版自殺対策白書(2024年10月29日)
政府は10月29日、令和6年版自殺対策白書を閣議決定した。令和5年の自殺者数は21,837人で、前年より44人(約0.2%)減少した。男性は2年連続で増加し、女性は4年ぶりに減少した。小中高生の自殺者数は513人と、過去最多であった前年と同水準だった。
政府は自殺対策基本法に基づき、毎年、自殺の概況と対策に関する白書を国会に提出している。
自殺者数の年次推移をみると、令和2年には11年ぶりに自殺者数が増加し、その後は21,000人台で推移しており、令和5年は21,837人で前年より減少した。男女別では男性が2年連続で増えたのに対し、女性は4年ぶりに減少した。
年齢階級別の自殺死亡率は令和2年以降、ほとんどの年齢層で上昇しており、特に40歳代は令和5年まで上昇を続け、50歳代は令和3年から4年にかけて大きく増加した。
令和5年の職業別自殺者数は、「有職者」が男女共に増加している。自殺原因や動機では、「健康問題」は男女共に減少し、「経済・生活問題」は増加している。
子どもの長期休暇明けのリスクがより明確に
今回の自殺対策白書では子どもの自殺対策について特集で紹介している。
10代は近年、緩やかな上昇傾向にあり、令和5年の小中高生の自殺者数は513人で、前年の最多記録と同水準だった。
2009年以降の小中高生の自殺者数を日別で見ると、8月後半から増加し(下図左)特に夏休み明けの9月1日が多い。ただし過去の分析によれば、夏休み明けの9月1日の自殺者数は減少傾向にあり、春休み明けの4月上旬の増加も緩やかになっている。
地域別では、「北海道・東北」の自殺者数の増加が、「その他地域」よりも2週間ほど早い(上図右)。北海道・東北地方は夏休み明けが1~2週間早いことが関連していると考えられる。
G7の中で自殺死亡率が最も高い
諸外国の自殺の状況について、OECDのデータにより自殺死亡率を見ると、「韓国」が24.1と最も高く、「リトアニア」(18.5)、「スロベニア」(15.7)と続き、「日本」(15.4)は4番目だった。なお男女別にみると、「日本」は男性が21.2で10番目、女性が9.8で2番目であった。
G7各国の自殺死亡率については、WHOのデータによれば「日本」は16.5と、7か国の中で最も高かった(下図)。