オンライン診療・服薬指導でも処方・調剤情報の閲覧が可能に 令和6年4月から「オンライン資格確認用Webサービス」(2023年9月27日)
厚労省の健康・医療・介護情報利活用検討会「電子処方箋等検討ワーキンググループ」(WG)は9月27日、電子処方箋の機能追加等について議論した。今後リリースされる機能に関して、オンライン診療・服薬指導の業態でもマイナンバーカードの受付によって過去の薬剤情報閲覧等の同意等ができる「オンライン資格確認用Webサービス」が報告された。また、院内処方の対象範囲についての議論がなされた。
オンライン診療・オンライン服薬指導については、現時点でも電子処方箋の発行・受付自体は可能だが、マイナンバーカードによる薬剤情報閲覧等の同意ができないといった制約がある。これに関して、令和6年4月から、オンライン診療・オンライン服薬指導等でもマイナンバーカードを活用したオンライン資格確認ができる仕組みとして「オンライン資格確認用Webサービス」(下図)が運用開始予定となっている。
同サービスの運用開始により、医師・薬剤師等が処方・調剤情報を閲覧できるようになる。また、オンライン服薬指導の場合でも、自宅等で患者のスマホから同サービスを活用して、調剤対象の処方箋が選択できるようになる。
電子処方箋管理サービスでの「院内処方」対象範囲を議論
院内処方情報への対応については、9月11日の健康・医療・介護情報利活用検討会「医療等情報利活用ワーキンググループ」において、「電子処方箋管理サービス」で取り扱うことを基本とする方針が示されている。
今回のWGでは院内処方の対象範囲について議論を開始し、事務局は次の案①~案➂までを示しつつ、案②としてはどうかと提案した。
案①:一般名コード、レセプト電算コード、YJコードのいずれかの医薬品コードで管理される薬剤全てを対象とする
案②:薬物治療を目的として使用する薬剤(手術や検査等に使用する薬剤を除く)のみを登録必須とする(それ以外は任意)
案③:外来患者に対する院内処方のみ登録必須とする(それ以外は任意)
日本医師会の長島公之構成員は、診察・処方や調剤の「判断」に影響を与える薬剤をカバーするといった基本的な考え方を踏まえ、案②に賛同した。
内服薬処方の記載「1日量」「1回量」でアンケートを提案
内服薬の用法の処方箋への記載については、2010年に「内服薬処方せんの記載方法のあり方に関する検討会報告書」が公表され、1回量記載が推進されている。これにより、当分の間は1回量と1日量が同時に確認できるように併記表現が求められることとなった。しかし、2015年の「内服薬処方せんの記載方法標準化の普及状況に関する研究」が行われた際の進捗確認の結果、1回量と1日量が併記されているのは一部の医療機関であった。また、電子処方箋の「用法マスタ」では、1日量記載を前提とした用法でなく、1回量記載を前提とした用法となっている。
そのため、「1日量での処方を続けているため、用法を全てダミーコード+テキストとせざるを得ない」「医療機関から用法が全てダミーコード+テキストで来るため、薬局側で改めて設定する必要がある」などの問題が指摘されていた。
この問題の対応として今回のWGでは「電子処方箋の普及拡大に合わせて、1回量・1日量の併記を改めて推進し、内服薬の1回量記載の浸透を図る」、また「合わせて、ポータルサイトから1回量記載や併記に係る簡単なアンケートを行い、現状を把握する」ことが提案された。長島構成員はこの提案について、簡単なアンケートではなくきちんとした現場へのヒアリングをするべきと指摘した。