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安定供給確保に向け後発品企業のビジネスモデルを議論 供給情報の収集・共有のあり方も論点(2月15日)

厚生労働省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」(遠藤久夫座長)は2月15日、医薬品の安定供給について議論した。後発品企業のビジネスモデル見直しや医薬品の供給情報の共有が論点となった。

同検討会は、革新的な医薬品等の日本への早期上市と医薬品の安定供給を図ることを目指し、薬価制度や流通、産業構造など幅広い領域について議論を行っている。4~5月には提言をまとめる予定としている。同日の会合では、多数の医薬品の供給に支障が生じている実態を踏まえて、後発医薬品産業の課題を議論した。

2021年以降、複数の後発品企業において製造管理・品質管理の不備による法違反が発覚し、行政処分が実施されてきた。その背景には、後発品の薬価が極端に低下したことにより、共同開発を行わなければ採算が取れなかったり、リスクに備えて安定供給に資する生産体制を構築するために必要な利益を企業が確保できないという事情があるとも指摘されている。後発品は採算性が低く、原価率が8割を超える薬が約3割を占めている。

図:医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会(2023年2月15日)資料より

2022年8月末時点で後発医薬品の約4割が出荷停止または限定出荷

製品の回収などにより、ある企業が出荷停止を行うと、その分、注文が増えた他の企業は在庫消尽を避けるために、すべての注文に対応せず限定出荷を行う。そのため、医療機関や薬局では供給不足が起きてしまう。2022年8月末時点で、後発医薬品の約4割が出荷停止または限定出荷となり、供給不安が続いている。

厚労省は検討すべき論点に、少量多品種の生産となってしまっている後発品企業のビジネスモデルを挙げた。医薬品の供給不安が生じる場合に備えて、供給情報の収集・共有のあり方も論点とした。

構成員からは、「後発医薬品のシェアがほぼ80%に達したのだから、政策は次のステージに進めなければならない」「少量多品種を製造する企業が多数あること自体が、安定供給の問題や製造管理の不備につながっていると認識すべき」「5年程度の時限措置でインセンティブを付けて企業再編を促進してはどうか。後発品企業の規模が拡大すれば価格交渉力が増し、利益率を確保できるようになる」などの意見が出された。  

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