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内閣府が中長期財政を試算 医療の⾼度化による医療費増加を指摘(2024年4月2日)

内閣府は4月2日に開催された経済財政諮問会議に、2034年から2060年までの経済、財政、社会保障の中長期予測を示した。2040年以降も高齢化率の上昇が予想される中で、介護費用は高齢化の影響で持続的に増加すると試算されている。一方で、医療費は高齢化と人口動態による増加が鈍化するものの、医療技術の進歩など「その他要因」によって増加率がさらに上昇する可能性が示されている。

写真:経済財政諮問会議で発言する岸田首相=2024年4月12日(出典:首相官邸ウェブページ)

試算では、経済成長などが現状通りで出生率が1.36程度まで回復するシナリオにおいて、医療・介護の給付費がGDP(国内総生産)に占める割合は2019年度の8.2%から、医療の高度化がこれまでの実績通りの場合(年率1%)には、2040年度に10.2%、2060年度に13.3%まで、医療の高度化が加速する場合(年率2%)には、2040年度に10.7%、2060年度に16.1%まで高まることを示した。

給付費増大を相殺する改革が必要

内閣府は、対GDP比で医療・介護の給付費が増え続けることを問題視。試算の結果を受け、医療・介護の給付費を2060年でも一定範囲(11.1%)に抑えるため、「医療の高度化等の『その他要因』を相殺する改革効果を実現できれば、長期安定シナリオの下で、制度の長期的安定性の確保が見通せる結果になる」と指摘した。

社会保障(医療・介護)の給付と負担の改革
令和6年第3回経済財政諮問会議(2024年4月2日)資料

その上で、「DX活用等による給付の適正化・効率化、地域の実情に応じた医療・介護提供体制の構築、応能負担の徹底を通じた現役・高齢世代にわたる給付・負担構造等の見直し等、様々な努力の積み重ねが必要」と主張した。

同日、岸田文雄首相も、「医療・介護の給付費の対GDP比の上昇基調に対する改革に取り組み、財政健全化を着実に進めることが重要」と発言した。

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