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骨太方針2023、医療DX推進の取組みについて「必要な支援を行う」と明記(2023年6月16日)

政府は6月16日、総理大臣官邸で「経済財政諮問会議」と「新しい資本主義実現会議」の合同会議を開催し、「経済財政運営と改革の基本方針2023」(骨太方針)、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」、「成長戦略等のフォローアップ」をとりまとめ、その後の臨時閣議で閣議決定した。

令和5年第9回経済財政諮問会議・第20回新しい資本主義実現会議の合同会議=6月16日(写真:首相官邸)

骨太方針での医療DX関連では、6月2日の医療DX推進本部で決定された「医療DXの推進に関する工程表」を念頭に、「医療DX推進本部において策定した工程表に基づき、医療DXの推進に向けた取組について必要な支援を行いつつ政府を挙げて確実に実現する」としている。

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6月7日に示されていた原案と比較すると、「医療DXの推進に向けた取組について必要な支援を行いつつ」という表現が追加された。

そのほか、医療DX関連の記載は以下の通り。

  • マイナンバーカードによるオンライン資格確認の用途拡大や正確なデータ登録の取組を進め、2024年秋に健康保険証を廃止

  • レセプト・特定健診情報等に加え、介護保険、母子保健、予防接種、電子処方箋、電子カルテ等の医療介護全般にわたる情報を共有・交換できる「全国医療情報プラットフォーム」の創設

  • 電子カルテ情報の標準化等を進める

  • PHRとして本人が検査結果等を確認し、自らの健康づくりに活用できる仕組みを整備

  • 新しい医療技術の開発や創薬のための医療情報の二次利活用

  • 「診療報酬改定DX」による医療機関等の間接コスト等の軽減

  • 医療DXに関連するシステム開発・運用主体の体制整備

  • 電子処方箋の全国的な普及拡大に向けた環境整備

  • 標準型電子カルテの整備

  • 医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策等を着実に実施

医療DX「国が責任を持って主導」

「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」においては、医療・介護のDXについて、「医療・介護に係る情報を共有・交換できる全国医療情報プラットフォームの創設、診療報酬改定DX、電子カルテ情報の標準化等の取組を行政と関係業界が一丸となって進める」とした。

医療DXがわが国の医療の将来を切りひらくものであることから、これらの施策は「国が責任を持って主導する」としている。

また、医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策等を着実に実施し、「成立した改正次世代医療基盤法に基づき、医療情報の利活用を促進する」と記載、「成長戦略等のフォローアップ」では、「医療のDX」として、以下の通り明記した。

  • 2024年4月を目途に、居宅でのオンライン資格確認や、資格情報のみの取得が可能なオンライン資格確認ができるようにシステム導入支援等を行う

  • 2024年4月を目途に、マイナンバーカードの電子証明書機能がスマートフォンに搭載される状況を踏まえつつ、スマートフォンでのオンライン資格確認が可能となるようにする

  • 質の高い個人健康情報(PHR)の活用による再生・細胞医療・遺伝子治療の臨床効果の検証やウイルスベクター生産技術の開発を促し、患者がより効果的な医療サービスを受けることができる措置を2023年度中に検討し、所要の措置を講ずる

2024年度トリプル改定は、「患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ」対応

2024年度に予定されている診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定については、骨太方針において、「物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う」とした。

6月7日に示されていた原案では、「患者・利用者負担・保険料負担の抑制の必要性を踏まえ、必要な対応を行う」となっており、与党協議を踏まえた修正となった。

また、トリプル改定の際は、「第5章2における「令和6年度予算編成に向けた考え方」を踏まえつつ」という文言も追加された。骨太方針2023の第5章2②で引用されている「骨太方針2021」においては、社会保障関係費について、「基盤強化期間における方針、経済・物価動向等を踏まえ、その方針を継続する」こととされている。

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