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マイナ保険証、1月からの利用率増加に応じた支援金など利用促進策を周知――医療保険部会(2024年1月19日)

厚生労働省は1月19日の医療保険部会において、マイナ保険証の利用率増加に応じた支援金や、診察券との一体化等への補助金などについて改めて周知した。そのほか、今後の資格確認書の交付や、オンライン資格確認の用途拡大などについても説明した。なお、能登半島地震におけるオンライン資格確認の災害時モードの情報閲覧件数が、1月16日時点で石川県・富山県を中心に約12,300件あったことも報告された。


マイナ保険証利用率の増加に応じた支援金を交付

健康保険被保険者証(健康保険証)の廃止を定めるマイナンバー法等の一部改正法および政令により、令和6年12月2日からマイナ保険証を基本とする仕組みに移行するが、利用率は昨年12月時点で4.29%と低迷している。厚生労働省ではその対策として、利用率目標の設定や利用率増加に応じた支援金などのインセンティブ、医療機関等の窓口対応の見直しなどを掲げている(下図)。

また、保険者にも利用率の目標設定やインセンティブ交付金等での実績評価などの利用促進策を示している。

利用率5%以上増の医療機関・薬局を支援

マイナ保険証の利用率増加に応じた支援金は、令和5年度補正予算において手当てされているもので、期間中のマイナ保険証利用率(初診・再診・調剤)が、令和5年10月の利用率と比較して5%ポイント以上増加した医療機関・薬局に対する支援となっている。

具体的には、令和6年1月~5月の5か月間を前半、令和6年6月~11月の6か月間を後半として、前半期または後半期のマイナ保険証平均利用率と、令和5年10月の利用率を比較し、下表の増加量に応じた支援単価を前半期または後半期のマイナ保険証総利用件数に乗じた額が、支援金として交付される仕組み。なお、利用率の算出にあたっては、10月の利用率の場合、「令和5年10月のマイナ保険証利用人数(名寄せ処理後)/ 令和5年11月請求分レセプト枚数(外来レセのみ)」として計算する。

また、支援金の交付にあたって、医療機関・薬局からの実績報告などは不要となっており、支払基金から年2回(前半期・後半期)実績に応じた支援金が交付される。今後、支払基金より各医療機関等に対して、毎月のマイナ保険証の利用実績が令和6年1月から毎月個別に通知される予定で、支援金の見込額を把握する際や利用率の目標設定などの際に活用することができる。 

診療報酬改定においても利用実績に応じた評価を検討 

なお、令和6年度診療報酬改定においても、利用実績に応じた評価が検討されている。

1月12日に中医協が取りまとめた「令和6年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」において、『オンライン資格確認の導入による診療情報・薬剤情報の取得・活用の推進に加え、「医療DXの推進に関する工程表」に基づき、利用実績に応じた評価、電子処方箋の更なる普及や電子カルテ情報共有サービスの整備を進めることとされていることを踏まえ、医療DXを推進する体制について、新たな評価を行う』と明記されている。 

マイナ保険証利用件数が多い医療機関・薬局については、顔認証付きカードリーダーの増設を支援

令和5年10月から令和6年3月までのいずれかの月のマイナ保険証の月間利用件数の総数が500件以上の機関については、顔認証付きカードリーダー1台の増設に要した費用の一部が補助される。令和5年度補正予算において手当てされたもの。

病院については、下表の条件に応じ、顔認証付きカードリーダー最大3台まで、増設に要した費用の一部が補助される。 

マイナカードと診察券一体化等への補助金

デジタル庁においては、「医療機関・薬局でのマイナンバーカードの利活用推進事業(令和5年度補正予算)」により、マイナンバーカードを診察券や公費負担医療・地方単独医療費助成の受給者証として利用可能とするのに必要な医療機関・薬局のシステム(再来受付機・レセプトコンピューター)の改修について支援が実施される。

補助要件としては、例えば病院については、①令和5年10月末から令和6年3月末までのいずれかの月のマイナ保険証の月利用件数の総数が500件以上であること、②令和5年10月末のマイナ保険証の利用率と比較して、令和6年1月以降の平均利用率が5%以上増加したこと(令和6年1月以降の利用率を算出し、5%を超えた時点で申請要件を満たす)――のいずれかとされている(下図)。

全医療機関に窓口での対応見直しを要請し、2月から診療報酬のオンライン請求時に取組状況をアンケート調査

医療機関等での窓口での対応策としては、①窓口での声かけを「保険証、見せてください」から「マイナンバーカード(マイナ保険証)、お持ちですか」へ切換え、②マイナ保険証の利用を促すチラシ、ポスター等の院内配布・掲示等、③医療機関ホームページでの外来予約等の案内において、「マイナンバーカード」の持参を記載――を全医療機関等に要請し、2月から診療報酬のオンライン請求時に取組状況をアンケート調査することしている。

また、国所管団体が開設する公的医療機関等に対しては、令和6年5月末、11月末の利用率の目標設定を要請する。なお、厚生労働省所管法人の病院には専用レーンの設定および説明員の配置(1月中に最低1か所、2月中に原則全医療機関)を要請済みとしている。

そのほか、保険者・事業者による対策も示された(下図)。保険者による取り組みとしては、「マイナ保険証の利用率の目標設定(2月中目途)」や、その「実績を保険者インセンティブ制度・業績評価等で評価」することなどをあげている。

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