令和6年度上半期出産費用は51.8万円 一時金引き上げ前の令和4年度より3.6万円増加(2024年11月13日)
厚労省は11月13日、「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」で出産費用について報告した。令和6年度上半期の正常分娩の平均出産費用は51.8万円となり、令和5年度の50.7万円からさらに増加。出産育児一時金が引き上げられる前の令和4年度の48.2万円と比較すると3.6万円増加していることがわかった。
出産育児一時金は、昨年4月に原則42万円から50万円に引き上げられた。正常分娩の平均出産費用(室料差額や産科医療補償制度の掛金等を除いた妊婦合計負担額)の状況をみると、一時金引き上げ前の4年度は48.2万円だったものの、一時金引き上げ後の5年度は50.7万円、6年度上半期(4~9月請求分)は51.8万円となり(下図)、4年度に比べてそれぞれ2.4万円(5%)、3.6万円(7%)増えている。
施設種別の費用推移を比較すると、次のとおり、診療所での費用増加が特に多くなっている。
公的病院:令和4年度の46.3万円から6年度上半期には48.2万円(1.8万円増)
私的病院:50.6万円から53.7万円(3.0万円増)
診療所(助産所含む):47.9万円から52.3万円(4.5万円増)
東京と熊本の差は1.6倍
令和5年度の都道府県別平均では、最も高額なのは東京都の62.5万円、次いで神奈川県(56.9万円)、愛知県(52.6万円)。一方、最も低いのは熊本県の38.9万円、鳥取県(40.9万円)と青森県(40.9万円)が続く。東京都と熊本県の差は1.6倍に達する。
また、令和6年度上半期と令和4年度を比較した際の増加率が高い地域として、沖縄県(12%増)、山口県・熊本県・大分県(11%増)が挙げられる。一方で、宮城県の増加率は2%と最も低い結果となった。
「出産育児一時金の引き上げが出産費用の上昇に影響」
令和5年5月以降、出産育児一時金は原則50万円に引き上げられたが、支給額を上回る出産費用を負担した妊産婦は全体の45%。さらに、そのうち13%は10万円以上の差額を負担している。
健保連の佐野雅宏委員は、「出産育児一時金の引き上げが出産費用の上昇に影響を与えている印象を拭えない」と述べた。その上で、「地域や施設ごとの費用内訳、出産費用上昇の要因を分析し、データを可視化することが、今後の保険適用議論の前提条件となる」と、詳細なデータ提供の必要性を訴えた。