給食関連費用156%の増加 介護9団体が物価高騰・賃上げ調査の結果を発表(2024年9月20日)
全老健など介護関係9団体は9月20日、「介護現場における物価高騰・賃上げ等の状況調査」の結果を発表した。光熱水費や給食の材料費・委託費の価格の上昇が経営を圧迫していることや、一定程度の賃上げは実施されたものの他産業との格差が拡大していることが分かった。全老健の東憲太郎会長(写真中央)は、物価高騰に対する補正予算での対応や、賃上げ維持のための臨時介護報酬改定を求めていく考えを示した。
物価高騰の状況調査では、老健施設など介護保険施設は令和6年6月と令和2年6月を比べると、電気代155%、ガス代151%、燃料費132%、給食用材料費・給食委託費156%と大幅に増加している。
賃上げ状況調査では、令和6年度の正社員の平均は賃上げ額6,098円で賃上げ率2.52%、うちベースアップ分(基本給)は3,299円で賃上げ率1.36%となっていた。このうち、老健施設など居住・施設系の正社員は賃上げ額5,931円で賃上げ率2.45%、通所・訪問介護など在宅系サービス事業所の正社員は賃上げ額7,373円で賃上げ率3.04%だった。
東会長「臨時の介護報酬改定が必要」
全老健の東憲太郎会長は、物価高騰に対する介護業界の対応策として「補正予算による経済対策で介護事業者への支援を求めたい」と述べた。また、介護報酬の改定について「令和6年度の改定にはすでに2年分の賃上げが含まれているが、現状を踏まえ、臨時の介護報酬改定が必要」と指摘。他産業との賃上げ格差は明らかであって「臨時の賃上げを行わないと、来年度の賃上げが困難になる」とし、政府・与党や国会議員への要請を行っていく意向を示した。