令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要が固まる 処遇改善は6月施行(2024年2月6日)
厚労省の障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(主査:三浦靖厚生労働大臣政務官)は2月6日、これまでの議論を踏まえて、「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」をとりまとめた。各サービスの基本報酬や加減算の具体的な単位数を示している。3月下旬に告示や通知を改正する。
障害福祉サービス等報酬は、障害者や障害児、難病疾患の対象者に対して障害福祉サービスや障害児支援を提供した事業所が、審査支払機関(国保連合会)を通じて市町村等から受けとる報酬。令和6年度改定は診療報酬や介護報酬と同時に改定される、いわゆるトリプル改定の一角をなしている。昨年12月の大臣折衝により、改定率は+1.12%とされている。物価高騰や賃金上昇を前提とする人材不足への対応等が焦点となっていた。
改定の時期については、令和6年4月1日施行とする。ただし、新たに追加措置する福祉・介護職員の処遇改善分や処遇改善加算等の一本化については6月1日に施行。介護報酬改定と足並みを揃えたかたちとなる。なお、改正障害者総合支援法により創設された「就労選択支援」に関する改定事項は令和7年10月1日に施行する。
福祉・介護職員等処遇改善加算に一本化
従事者の処遇改善については、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップへと確実につながるように加算率の引上げを行うこととした。また、事務効率化等の観点から、現行の各加算・各区分の要件や加算率を組み合わせた4段階の「福祉・介護職員等処遇改善加算」に一本化を行う。さらに、就労定着支援、自立生活援助、就労選択支援を処遇改善加算等の対象に加えた。
事業所の取組みや体制に応じて、福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅰ)から(Ⅳ)の区分を設ける。例えば居宅介護事業所が福祉・介護職員等処遇改善加算Ⅰを算定する場合、基本報酬に加減算した単位数に41.7%を乗じることを可能とする(下図)。ただし、令和6年度末までの経過措置期間中は、現行の3加算の取得状況に基づく加算率を維持した上で、改定による加算率の引上げを受けることができる等の激変緩和措置を講じる。
虐待防止措置未実施減算を新設
障害者虐待防止の取組みを徹底するため、全サービスを対象として虐待防止措置を未実施の事業所等に対する虐待防止措置未実施減算を新設する。 令和4年度から義務化された障害者虐待防止措置を未実施の障害福祉サービス事業所等について、所定単位数の1%を減算する。
なお、指定基準の解釈通知において、虐待防止委員会に外部の第三者や専門家の活用に努めることや、障害福祉サービス事業所等の管理者や虐待防止責任者が、都道府県の実施する虐待防止研修を受講することが望ましいことを明示する。
身体拘束廃止未実施減算の減算額を引き上げ
身体拘束等の適正化の推進の観点からは、身体拘束廃止未実施減算の減算額を引き上げる。相談系サービス・自立生活援助・就労定着支援を除く全サービスが対象となる。施設・居住系サービスは減算額を引き上げ(5単位→所定単位数の10%)、訪問・通所系サービスは減算額を見直す(5単位→所定単位数の1%)こととした。
虐待防止や権利擁護の観点からはその他、介助者の性別について、本人の意向を踏まえたサービス提供体制の確保に努めるべき旨を指定基準の解釈通知に明記する。
BCP未策定、情報公表未報告に減算
感染症や災害が発生した場合にも必要な障害福祉サービス等を継続的に提供的る体制を構築するため、すべてのサービスについて、業務継続計画未策定減算を新設する。業務継続計画(BCP)が未策定の場合、施設系サービスやグループホーム等の場合3%、訪問系・日中活動系サービス等の場合1%を減算する。なお、一定程度の取組みを行っている事業所に対しては経過措置を設ける。
利用者への情報公表、災害発生時の迅速な情報共有、財務状況の見える化の推進を図る観点から、すべてのサービスについて、情報公表未報告減算を新設する。障害福祉サービス等情報公表システム上、未報告となっている事業所が対象とし、施設系サービスやグループホーム等の場合10%、訪問系・日中活動系サービス等の場合5%を減算する。なお都道府県に対しては今後、事業所指定の更新申請があった際に、情報公表の報告がされているか確認するよう求める。