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新しい年金時代

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#遺族年金のしくみと手続

#35 別居中の事実婚配偶者が遺族厚生年金を受給できたケース

石渡 登志喜(いしわた・としき)/社会保険労務士・年金アドバイザー 今回は、別居・離婚の理由が夫の精神病だったケースです。離婚後も経済的な援助や音信が継続しており、子どもの独立後の再婚を約束していました。こうしたことから遺族厚生年金が支給された事例です。では、具体的に見ていきましょう。

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#34 DV被害による別居のときの遺族厚生年金の受給権について

今回は、夫死亡時の別居の理由が夫の暴力だったケースです。DV被害を受けていても婚姻解消の意思は認められず、経済的な援助や音信があったことから、生計維持関係があったと認められました。では、具体的に見ていきましょう。 4年近く別居中の夫が死亡し、遺族厚生年金を請求A子さんが夫のBさんが年金受給に死亡したとのことで、遺族厚生年金の請求手続きに来所されました。 厚生年金保険法第58条第1項第4号には、老齢厚生年金の受給権者が死亡したときは、その者の遺族に遺族厚生年金が支給されると

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#33 離婚後の内縁関係における遺族厚生年金の受給について

今回は、別居を経て離婚後、内縁関係にあった夫が死亡し、妻が遺族厚生年金の請求に訪れたケースです。このケースでは離婚前から別居しており、その内縁関係が事実婚関係と認められるか、また生計維持関係があるか、がポイントです。

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#32 妻の収入が夫死亡直後に減額となったケース

今回は、夫の生前には妻が高収入で、夫の死亡直後に妻の収入が大幅に減額となったケースです。妻は夫の生前、夫に代わり社長に就任し、夫が死亡後、すぐに社長を辞任しました。これにより収入が大幅に減額となり、収入要件の基準額未満となりました。ポイントは、夫の死亡日において、妻の収入減が予見できたかどうか、です。 ケースによっては、死亡日において近い将来の収入減が予見できる、とされる場合もあります。では、今回のケースを詳しく見ていきましょう。 夫死亡当時、妻の前年収入は900万円夫であ

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#31 高収入の夫に扶養される妻は、長男死亡による遺族厚生年金を受給できるか

今回は、会社勤務の長男が転勤先で死亡し、その母親が遺族厚生年金を請求したケースです。父親は会社役員で年収が1300万円あり、母親と同居しています。母親は当然、父親の被扶養者であり、同時に転勤先の長男との生計維持関係が認められるかどうかがポイントとなります。 厚生年金保険の被保険者であった息子のA介さんが死亡したとのことで、その母であるB子さんが遺族厚生年金の相談のため年金事務所に来所されました。加入歴等の記録とB子さんの持参した戸籍謄本等によると、B子さんには夫C雄さんがお

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#30 本妻のいない事実婚の夫が死亡し、遺族厚生年金を受給できたケース

今回は戸籍上の妻が15年前に死亡している、事実婚の妻のケースです。重婚的内縁関係ではないので、亡夫との事実婚関係と生計維持関係が認められれば、遺族年金を受給することができます。今回のケースは、事実婚関係にある夫と住民票上の住所が異なっていました。そうした場合であっても、申立書の記述から、ていねいに事実関係を洗い出すことが肝要です。 遺族厚生年金が支給される死亡者と遺族の条件内縁の夫、A男さんが病死したとのことで、B子さんはC子さん(A男さんと死亡した元妻の子)と一緒に遺族厚

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#29 繰下げ待機中に夫が死亡、未支給年金を離婚後内縁の妻は請求できるか

今回は、夫が老齢基礎年金及び老齢厚生年金の繰下げ待機期間中に死亡したケースです。妻は年収が1000万円あり、その夫といったん離婚し、離婚後も同居していた「離婚後内縁」の妻です。夫が繰下げていた年金を妻は未支給年金として請求できますが、年収1000万円の離婚後内縁の妻が未支給年金を請求できるかどうか、見ていきます。 繰下げ待機中の老齢年金は未支給年金として扱われる内縁の夫であるA男さんが死亡したとのことで、B子さんが年金事務所に来されました。A男さんは老齢基礎年金及び老齢厚生

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#28 不動産士業で社長の夫が死亡~取締役の妻は遺族厚生年金を受給できるか

今回は、不動産鑑定士・宅地建物取引主任者の資格を持ち、不動産業の会社を経営していた夫が死亡したケースをご紹介します。妻はこの会社の取締役として、遺族厚生年金の収入要件の基準額以上の年収がありました。ポイントは、夫の死亡による妻の減収が認められるかどうかです。 厚生年金保険の被保険者であったA雄さんが亡くなったとのことで、妻であるB子さんが遺族厚生年金の裁定請求に年金事務所に来所されました。 厚生年金保険の被保険者が死亡したとき、死亡者の遺族に遺族厚生年金が支給されます。遺

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遺族年金のしくみと手続~詳細版|#20別居中の夫が亡くなった場合に妻が遺族年金を受給するには

今回は、夫が亡くなった時点で夫婦が別居していた事例です。夫の借金のトラブルが家族に及ばないよう、夫婦はいったん離婚して別居しました。その後、借金トラブルが落ち着き、夫婦は再婚しましたが、二人は同居せずに別々に暮らしていました。妻が夫の死亡時に別居している場合、夫との生計維持関係が認められるかどうかが、問題です。妻の提出した「申立書」等から、どのように生計維持関係を判断したのか、ご紹介します。 戸籍上の妻が夫死亡時に別居していた場合 老齢厚生年金の受給権者であった夫のA

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#27 遺族厚生年金の請求が認められた内縁の妻のケース

今回は、前回とは逆に内縁の妻と亡夫との生計維持関係が明らかだったケースです。内縁の妻に遺族厚生年金の受給権が認められるためには、戸籍上の妻と亡夫との「婚姻関係が実体を全く失ったもの」となっていることが必要で、これが本ケースのポイントです。今回は、「婚姻関係が実体を全く失ったもの」とはどういう状態なのかを中心に見ていきます。 内縁の妻からの遺族厚生年金の請求老齢厚生年金受給者のA雄さんが死亡したとのことで、内縁の妻というC子さんが年金事務所に遺族厚生年金の請求に来所しました

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#26 遺族厚生年金の請求が認められなかった内縁の妻のケース

今回は、戸籍上の妻のいない内縁の妻のケースです。重婚的内縁関係でなくても、事実婚関係が認められなければ、遺族年金を請求することはできません。ポイントは夫婦の共同生活と認められる事実関係を「成立させようとする合意」があること、その事実関係が「存在すること」の2点です。では、具体的に見ていきましょう。 戸籍上の妻のいない亡夫の「内縁の妻」が遺族厚生年金を請求令和5年6月16日、A男さんが特別支給の老齢厚生年金を受給中に病死したとのことで、内縁の妻というB子さんが遺族厚生年金の請

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#25 遺族年金の受給権者は本妻か、内縁の妻か、内縁の妻の子か?

今回は、年金を受給しながら会社勤務をしていた夫が死亡し、内縁の妻と本妻が同時に遺族年金を請求した事例をご紹介します。内縁の妻には亡夫が認知した5歳の娘がおり、亡夫との生計維持関係が成立しています。一方、本妻は亡夫と夫婦として普通に生活を送っていました。 内縁の妻と本妻の両者が遺族年金を請求 重婚的内縁関係にあったA男さんが死亡したとのことで、B子さんが遺族年金の相談にみえました。B子さんの話によると、亡くなったA男さんとの間に正式に認知された娘C子さんがいて、A男さんは毎

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#24 専業主婦が死亡した場合の夫と子の遺族年金請求

今回は、専業主婦(国民年第3号被保険者)の妻が死亡し、遺された夫に子ども(20歳と17歳)がいるケースです。年金機能強化法により、シングルファザーにも遺族基礎年金が支給されるようになりました。一方で、夫の前年収入は920万円と収入要件を上回っています。夫と子の遺族年金はどうなるのか、見ていきます。 年金機能強化法による妻が死亡した場合の夫の遺族基礎年金の請求 厚生年金被保険者であるAさんが、妻のB子さんが病死されたとのことで、遺族年金の請求に来所されました。Aさんの持参し

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#23 遺族厚生年金の受給権者となるのは、実母か? 養子縁組した養母か?

今回は、娘が死亡したときに、娘に生活の面倒を見てもらっていた実母と養母のどちらが遺族厚生年金を受給できるか、という事例です。娘と実母、養母は一緒に暮らしていました。養母は娘の夫(故人)の実母、つまりは義理の母ですが、娘と養子縁組をしていました。この場合、遺族厚生年金の請求にあたり、実母と養母の取り扱いに違いはあるのでしょうか。 死亡者(娘)と実母、養母が生計同一で生活していた同居している娘のA子さんが死亡したとのことで、A子さんの実母X子さんと養母Y江さんが遺族年金の請求に

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