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年金時代

年金実務に携わる皆さまに、公的年金等を中心とした制度改正の動向や実務情報をお届けします。
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#遺族年金のしくみと手続

遺族年金のしくみと手続~詳細版|#10 未支給年金の受給権者は死亡者の子か、兄か?

今回は、障害年金の受給者が死亡し、受給者の子どもと、受給者の兄がそれぞれ未支給年金を請求しに年金事務所を来訪したケースです。子どもも兄も、受給者とは同居しておらず、どちらに受給者との生計同一関係が認められるかがポイントです。 父親が死亡し、長男が未支給年金を請求父親Aさんが死亡したとのことで、Aさんの長男であるXさんが令和4年2月10日の午前中に未支給年金の請求にみえました。 Aさんは、障害基礎年金と障害厚生年金の受給権者で、20年ほど前に離婚し、その後は保険金や貯金をや

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遺族年金のしくみと手続~詳細版|#9 死亡後に障害厚生年金の受給権を行使して遺族厚生年金の受給要件を満たす

石渡 登志喜(いしわた・としき)/社会保険労務士・年金アドバイザー 今回は、会社員の夫が肺がんで亡くなり、夫の死亡後に障害厚生年金の受給権を行使して、妻が遺族厚生年金を請求する事例です。夫は会社勤務中に肺がんが見つかり、体調が悪化して退職し、その後に亡くなりました。年金加入期間が25年に満たないので、一見すると遺族厚生年金を請求できないように思われます。しかし、本事例は「障害等級2級以上に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡した場合」という短期要件を満たすと

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遺族年金のしくみと手続~詳細版|#8 病院長の妻は遺族厚生年金の収入要件を満たせるのか

医師のA男さんはクリニックの院長及び医療法人の理事長を務めていましたが、白血病で死亡しました。妻のB子さんには、医療法人の理事としての給与収入と不動産収入を合わせて年間960万円の収入があり、クリニックは長男が引継ぐ予定となっています。一見、B子さんは遺族年金の収入要件を満たさないように思えます。しかし、事実を丁寧に聞き取っていくと、クリニックの窮状が浮かび上がってきました。 夫が死亡、妻の前年収入は約1,000万円医師である夫Aさんが急性骨髄性白血病で死亡したので、遺族厚

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遺族年金のしくみと手続~詳細版|#7 離婚した夫が死亡。実母が子ども引き取ったら…

A子さんには、離婚したB男さんとの間に子どもが3人います。離婚後、子どもはB男さんが面倒を見ていましたが、B男さんが突然、死亡してしまいました。そこで、A子さんが子どもを引き取ることになりました。現在、子どもは遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給しています。A子さんは今後、子どもが受給できる遺族年金が気になり、相談にみえました。 離婚後に元夫が死亡し、子どもを引き取ることにA子さんはB男さんとの間に3人の子をもうけ、B男さんの母親(遺族厚生年金受給中)を世帯主とする同一世帯で生

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遺族年金のしくみと手続~詳細版|#6 被保険者の死亡による遺族厚生年金の受給者は、配偶者か母親か?

遺族厚生年金を受けられる遺族として配偶者と母親がいる場合、配偶者のほうが先順位者となります。配偶者と母親の両者から請求があれば、当然、配偶者が受給者である、と考えてしまいがちです。 今回は、配偶者と母親から遺族厚生年金の請求があり、結果として、配偶者が請求を取り下げたケースをご紹介します。 配偶者が遺族年金を請求した後、母親が請求に訪れる息子のC男さんが死亡したとのことで、母親であるA子さんが遺族厚生年金の請求に年金事務所へ来所されました。C男さんは厚生年金保険の被保険者期

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遺族年金のしくみと手続~詳細版|#5 夫の死亡当時に生活保護受給中の妻は遺族厚生年金を受給できるか

一見すると単純に見える遺族年金請求でも、添付書類をよく確認すると問題点が見えてくることがあります。今回は、そのような事例を取り上げるとともに、添付書類等について私の経験上、確認すべきポイントを具体的にお伝えします。 夫婦の実態があったか疑問が残るケースA男さんは厚生年金被保険者であり、老齢厚生年金の受給者でしたが、2年間の闘病の末に肝臓がんにより亡くなりました。翌月に妻であるB子さんが遺族厚生年金の請求で年金事務所に来所されました。 B子さんが持参した戸籍謄本、住民票、除

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遺族年金のしくみと手続~詳細版|#4 夫が行方不明後に死亡確認されたときの妻の遺族年金受給権

今回は、夫が行方不明となった後に死亡が確認された場合の妻の遺族年金の事例です。死亡してから短期間で死亡が確認されたため、「失踪宣告」に該当しません。夫の死亡日や生計維持認定日、妻の遺族年金の受給権発生日はどのようになるでしょうか。 夫が登山中に事故死して1ヵ月後に発見夫のA雄さんが事故により死亡したとのことで、令和3年9月2日に妻のB子さんが遺族厚生年金の請求で年金事務所に来所されました。A雄さんは厚生年金被保険者であって、老齢厚生年金の受給権者でもありました。 B子さん

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遺族年金のしくみと手続~詳細版|#3 死後認知された子の遺族年金受給権

今回は、死亡者の内縁の妻に胎児がいた場合の遺族年金をご紹介します。死亡者が死亡して半年後にこの子は出生し、その1年後に死亡認知の判決が確定しました。一方、死亡者には戸籍上の妻がいて、すでに遺族厚生年金を受給中です。内縁の妻には多額の不動産収入があり、死亡者との生計維持関係はありません。 そこで、死後認知された子と、戸籍上の妻のどちらが遺族年金を受給できるのか、法律に基づいて見ていきます。 A雄さん死亡後に生まれた子の死後認知A雄さんが死亡したので遺族年金の請求をしたいとのこ

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遺族年金のしくみと手続~詳細版|#2 重婚関係にある場合の遺族年金の受給権

今回は、家を出奔したA雄さんが年金受給中に死亡し、A雄さんが転がり込んだ先のB子さんが遺族年金の請求に年金事務所を来訪したケースです。A雄さんには、戸籍上の妻C美さんがいて、C美さんも遺族年金の請求に年金事務所を訪れました。 B子さんとC美さんのどちらに遺族年金の受給権があるか、その判断プロセスについてご紹介します。 【事例概要】 内縁の妻B子さんの遺族年金の請求A雄さんが死亡したので遺族年金の請求をしたいとのことで、内縁関係にあったB子さんが年金相談に来所されました。

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遺族年金のしくみと手続~詳細版|#1 高収入でも遺族年金が受給可能な場合

 遺族年金を受給するための生計維持要件には、「生計同一要件」と「収入要件」があります。収入要件は“年収850万円未満”とされますが、収入がこの金額を超えていても要件を満たす場合があります。今回は、事例に沿って収入要件を詳しく見ていきます。 在職中で遺族年金も老齢年金も未請求 現在、厚生年金保険の被保険者であるAさんは、「来年、65歳で定年退職となるので、65歳から受給できる老齢基礎・老齢厚生年金額を知りたい」と言って、5月20日に年金事務所に来所されました。  Aさんは、6

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