遺族年金のしくみと手続~詳細版|#6 被保険者の死亡による遺族厚生年金の受給者は、配偶者か母親か?
遺族厚生年金を受けられる遺族として配偶者と母親がいる場合、配偶者のほうが先順位者となります。配偶者と母親の両者から請求があれば、当然、配偶者が受給者である、と考えてしまいがちです。
今回は、配偶者と母親から遺族厚生年金の請求があり、結果として、配偶者が請求を取り下げたケースをご紹介します。
配偶者が遺族年金を請求した後、母親が請求に訪れる
息子のC男さんが死亡したとのことで、母親であるA子さんが遺族厚生年金の請求に年金事務所へ来所されました。C男さんは厚生年金保険の被保険者期間中に亡くなりました。
筆者がC男さんに関連する相談履歴を確認したところ、C男さんの配偶者であるB子さんがすでに請求に来所していたことがわかりました。B子さんに対応した別の相談員は、遺族年金請求に必要な書類がそろっており、特段、疑問を持たずに請求書類を受理したとのことでした。
C男さんが死亡した当時、C男さんには死亡以前に20年以上の厚生年金被保険者期間があり、厚年法第58条第1項の保険料納付要件を満たした適格死亡者です。C男さんと妻であるB子さんが戸籍上、婚姻の届出をした夫婦であることは明らかです。
そこで筆者は、来所したA子さんに対し、厚生年金保険法第59条第2項により、配偶者または子が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、父母は遺族厚生年金を受けられないこと、また、先順位者である配偶者が遺族厚生年金の受給権者となった場合は、父母の遺族厚生年金は不支給になることを説明しました。
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