見出し画像

遺族年金のしくみと手続~詳細版|#7 離婚した夫が死亡。実母が子ども引き取ったら…

石渡 登志喜(いしわた・としき)/社会保険労務士・年金アドバイザー

A子さんには、離婚したB男さんとの間に子どもが3人います。離婚後、子どもはB男さんが面倒を見ていましたが、B男さんが突然、死亡してしまいました。そこで、A子さんが子どもを引き取ることになりました。現在、子どもは遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給しています。A子さんは今後、子どもが受給できる遺族年金が気になり、相談にみえました。

【事例概要】
死亡者:B男さん(昭和50年5月3日生まれ:46歳)
・高校卒業以来、厚生年金保険の被保険者として会社勤務
・母親(遺族厚生年金受給中)と妻A子さん、実子3人と同居
・平成30年6月にA子さんと協議離婚
・令和3年10月に急性心不全で死亡
相談者:A子さん(昭和53年4月25日生まれ:43歳)
・厚生年金保険の被保険者として会社勤務
・平成30年6月にB男さんと協議離婚し、一人で家を出る
・令和3年10月にB男さんが死亡
・実子のうち2人(長女、次男)を引き取る予定
・令和3年11月5日に来所
遺族年金受給者:A子さんB男さん夫婦の実子
・長男:17歳、長女:15歳、次男:13歳
・長男は実家に高校卒業まで残り、長女と次男はA子さんと同居予定

離婚後に元夫が死亡し、子どもを引き取ることに

A子さんはB男さんとの間に3人の子をもうけ、B男さんの母親(遺族厚生年金受給中)を世帯主とする同一世帯で生活していました。しかし、B男さんと協議離婚し、離婚成立後は一人でB男さんの家を出ました。3人の子はB男さんが引き取り、B男さんの母親と一緒にそれまでどおりに生活していました。

ところが、B男さんが急性心不全で突然、死亡してしまいました。B男さんの母親は高齢のため、孫3人の面倒を見るのは苦痛だと、A子さんに言ってきたとのことです。そこで、長女と次男をA子さんが引き取り、長男は高校を卒業するまでB男さんの母親との生活を続けることにしました。

このような状況になると、それぞれの子が受給できる年金は、どうなるでしょうか。

ここから先は

2,556字 / 1画像

¥ 100

社会保険研究所ブックストアでは、診療報酬、介護保険、年金の実務に役立つ本を発売しています。