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日医が6年度改定のポイント、基本料の増点や医療DXの推進を評価(2024年3月6日)

日本医師会の長島公之常任理事は3月6日の会見で、前日5日に告示・通知が発出された令和6年度診療報酬改定について改めて見解を示した。6年度改定のポイントとして、①医療従事者の賃上げと基本料の増点②医療・介護・障害福祉サービスとのトリプル改定③医療DXのさらなる推進―の3点をあげ、評価した。

中医協委員でもある長島常任理事は改定議論を振りかえり、「今回の改定は賃上げ・物価高騰という極めて大きなテーマに加え、6年に一度のトリプル改定、さらに医療DX、働き方改革、コロナ禍を踏まえた医療提供体制や新しい感染症対策など大きな課題が非常に多く、大変難しい改定だったと実感している」と述べた。

その上で、改定のポイントとして次の3点について評価した。

医療従事者の賃上げと基本料の増点では、医療関係職種の賃上げを行うための原資としてプラス0.61%の財源が確保された初再診時の「ベースアップ評価料」については、「他の産業に人材が流出することがないよう、できるだけ医療現場に役立つように活用することが重要である。多くの医療機関に届出してほしい」と呼びかけた。

初再診料の増点は医療界の成果

初・再診料の増点については「当初は財務省から初・再診料を中心に引き下げるとの主張があったが、医療界が一体・一丸となって取り組んだ結果だと考えている」と強調。入院基本料の増点については、「若手医師の働き方改革にもつながり、医療現場全体の改善に役立つものだと認識している」と話した。

医療・介護・障害福祉サービスとのトリプル改定では、「コロナ禍の教訓を踏まえて、介護保険施設などの医療提供体制について、より強固な医療機関との連携によって対応する方向性が示された。対面に加え、地域医療連携ネットワークなどICTの活用を評価することで、医療と介護の情報共有が強化され、地域連携がさらに促進されることを期待している」と述べた。かかりつけ医の「地域包括診療加算」の要件として、ケアマネジャーとの連携が追加されて3点増点されたことも評価した。
障害者支援施設に入所する末期がん患者に対し、医療保険の訪問診療を提供できるようにしたことを評価し、「トリプル改定の意義を生かした対応の一つだ」と述べた。

医療DXの効果実感に期待

医療DXのさらなる推進では、「今回新設された『医療DX推進体制整備加算』と『医療情報取得加算』の組み合わせによって、医療機関の負担が一定程度カバーされるとともに、患者にとってもDXによる質の高い医療を実感していただけることを期待している」と述べた。新設された在宅医療情報活用加算については「マイナ保険証による情報閲覧を用いた計画の立案などにより、質の高い在宅医療が期待できる」と述べた。

診療報酬改定DXの一環として改定時期が2か月後ろ倒しになることについては「これによって医療現場にマイナスの影響がでないように今後の状況を注視する必要があり、必要な対応をすべきだ。改定時期の後倒しによって直接的に恩恵を受けるベンダーが保守費用やリース料を大幅に引き下げるなど、目に見えるかたちで医療機関の負担が軽減する対応が必須である」と訴えた。

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