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医療DX関連の診療報酬見直しを答申 中医協総会(2024年7月17日)

中医協は7月17日の総会で、令和6年度診療報酬改定で新設した医療DX推進体制整備加算について、マイナ保険証利用率の実績に応じて加算を3段階に分けることを決めた。武見敬三厚生労働大臣の諮問に対し中医協として答申した。告示は8月の予定となっている。

写真:塩崎彰久厚生労働大臣政務官(右から3人目)に答申書を手渡す中医協・小塩隆士会長(同4人目)

令和6年度報酬改定で設けられた経過措置

医療DX推進体制整備加算(医科の場合、月1回初診時に8点)は、オンライン資格確認により取得した診療情報・薬剤情報を実際に診療に活用可能な体制を整備した上で、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスを導入し、質の高い医療を提供するための医療DXに対応できる体制を確保している場合の評価だ。施設基準ではこれらを満たすための各要件を設定し、次の経過措置を設けた。

  • マイナ保険証利用率の実績(令和6(2024)年10月1日から適用)

  • 電子処方箋を発行する体制(経過措置は令和7(2025)年3月31日まで)

  • 電子カルテ共有サービスを活用できる体制(経過措置は令和7(2025)年9月30日まで)

医療DX推進体制整備加算を10月から3区分に

マイナ保険証利用率の実績が10月1日から求められるため、今回、実績要件を決めた。決定にあたっては、医療機関におけるマイナ保険証利用の実態を把握するとともに、6月中に病院、医科診療所、歯科診療所、薬局から利用促進の取組み状況や課題などを聴取した。

診療側の委員は、マイナ保険証利用率が伸び悩んでいることは必ずしも医療機関の責任ではないことを含め、医療DXに積極的に取り組む医療機関の裾野を広げるため、実績要件は「低い利用率」にすべきと主張した。これに対し支払側は、マイナ保険証利用率の実績が低い医療機関が算定する加算ではないと指摘するとともに、利用率が上がる取組みへの医療機関のインセンティブになるよう「高い利用率」を主張した。

このような議論を踏まえ、厚労省は今回、2024年10月以降の医療DX推進体制整備加算をマイナ保険証利用率に応じて3段階に分けることを提案した。診療側が主張した「低い利用率」を現行の点数設定(加算3)とし、その上に中程度(加算2)、「高い利用率」(加算1)を設けた形だ。医科の点数をみると、加算1が11点、加算2が10点、加算3が8点となっている(下図)。

マイナ保険証利用率の実績を踏まえて施設基準を設定

利用率については、足下のマイナ保険証利用率の実績を踏まえて設定した。全国の利用件数は6月時点で1,874万件となり、オンライン資格確認利用件数に対する割合は9.9%となった。まだ1割にとどまるが、2024年2月と比べると利用率は倍増しており、今後も利用率は増加していくことが見込まれる。そのため実績要件は2024年10~12月、2025年1~3月、2025年4月以降でそれぞれ異なる利用率を設けることになった。

 中医協資料:医療DX推進体制整備加算及び医療情報取得加算の見直し

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