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医療DX推進体制整備加算、10月適用のマイナ保険証利用率の2パターンを詳解――厚労省セミナー(2024年7月19日)

厚労省は7月19日に「徹底解決!マイナ保険証への医療現場の疑問解消セミナー」をオンラインで開催し、マイナ保険証持参患者については、マイナンバーカードでのオンライン資格確認ができない場合、紙の保険証の提示がなくても、3割等の適切な自己負担割合での支払いを求めることを医療機関等に再周知した。そのほか同セミナーでは、7月17日の中医協で諮問・答申が行われた「医療情報取得加算・医療DX推進体制整備加算の見直し」についても説明された。

医療情報取得加算は12月から1区分の「1点」のみに

医療情報取得加算については、令和6年12月2日から現行の健康保険証の発行が終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行することから、マイナ保険証の利用の有無に着目した加算の点数差を見直し、標準的な問診票や、オンライン資格確認等システムからマイナ保険証を通じて取得された医療情報等の活用による質の高い医療への評価として見直しが行われた。

具体的には、現行の医療情報取得加算1~4について、初診時・再診時・調剤時に関係なく、加算の点数差をなくし、「医療情報取得加算(1点)」のみに再編する。なお、調剤時については現行の「6月に1回に限る」を「12月に1回に限る」に変更する。

医療情報取得加算

医療DX推進体制整備加算は10月から3区分に再編

医療DX推進体制整備加算については、もともと10月から施設基準のマイナ保険証利用率が適用されることとなっており、この基準について中医協で議論されてきた。その結果、マイナ保険証の利用実績やマイナポータルの医療情報等に基づく患者からの健康管理に係る相談対応に応じ、加算1、2、3の新たな評価区分に再編されることとなった。

医科では加算1が11点、加算2が10点、加算3が8点、歯科では加算1が9点、加算2が8点、加算3が6点、調剤では加算1が7点、加算2が6点、加算3が4点となり、各「加算3」の点数が現行の医療DX推進体制整備加算の点数と同点数とされた。

医療DX推進体制整備加算

また、各「加算1」および「加算2」の施設基準には、「マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じる体制を有していること」が追加される。

マイナ保険証利用率は令和7年1月に基準引上げ

医療DX推進体制整備加算に用いられるマイナ保険証利用率は、10月~12月分については、各「加算1」が15%、「加算2」が10%、「加算3」が5%とされたが、令和7年1月~3月分については、それぞれ30%、20%、10%に引き上げられる。

マイナ保険証利用率

さらに、令和7年4月以降のマイナ保険証利用率の実績要件については、7月17日の答申書附帯意見を踏まえ、今年末を目途に検討が行われ設定されることとなった。

マイナ保険証利用率は令和7年1月までに限り、「オンライン資格確認件数ベース利用率」も使用可能

マイナ保険証利用率は、原則として、適用時期の「❶3月前のレセプト件数ベースマイナ保険証利用率」を用いることとされた。ただし、令和6年10月~令和7年1月分については、適用時期の「❷2月前のオンライン資格確認件数ベースマイナ保険証利用率」を用いることも可能とした。

「レセプト件数ベースマイナ保険証利用率」は、「マイナ保険証の利用者数の合計÷レセプト件数」で算出され、現在、支払基金から各月、各医療機関・薬局にメールで通知されているが、把握できるのが2か月後となり、実績を反映するのには3か月後からとなる。

一方、「オンライン資格確認件数ベースマイナ保険証利用率」は、「マイナ保険証の利用件数÷オンライン資格確認等システムの利用件数」で算出され、1か月後から把握が可能で、実績を2か月後から反映できる利点がある。
そのため、今後、支払基金から❷の利用率も通知することで、令和7年1月までに限り、❷の利用率を用いることも可能としている。

さらに、❶または❷の利用率に代えて、その「前月」および「前々月」の各マイナ保険証利用率を用いることも可能とし、各利用率の3月間の最高値が適用されることとなる。

まとめると下表のようになる。

参照可能なマイナ保険証利用率の実績:レセプト件数ベースとオンライン資格確認件数ベース

マイナ保険証利用率の届出は不要

施設基準で設定されるマイナ保険証利用率については、毎月、支払基金から報告されるマイナ保険証利用率がその基準を満たしていればよいため、地方厚生(支)局長への届出は特に必要なく、すでに医療DX推進体制整備加算の届出を行っている場合、届出直しも不要となっている。

ただし、新規に医療DX推進体制整備加算を届け出る場合には、届出手続きは必要であり、また、届け出ていても、実績が基準に満たなくなった場合には、医療DX推進体制整備加算は算定できない取扱いとなっている。

上記に伴い、届出様式(様式1の6)の記載方法も一部変更となる(下図)。

届出添付書類の記載方法について

関連書籍

オンライン資格確認、電子処方箋、マイナ保険証等の医療DX関連については、社会保険研究所発行『医療DXの今後に向けて 電子処方箋・オンライン資格確認Q&A(令和5年4月版)』が詳しい。

また、医療情報取得加算、医療DX推進体制整備加算については、社会保険研究所発行『医科点数表の解釈(令和6年6月版)』や社会保険研究所が運営する「診療報酬関連情報ナビ」を参照。

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