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マイナ保険証一時金と顔認証付カードリーダー増設支援を令和6年8月まで1か月延長(2024年8月9日)

厚労省は8月9日、オンラインで「医療機関・薬局向けマイナ保険証利用促進セミナー」をデジタル庁と共同開催した。厚労省は同セミナーで、マイナ保険証利用促進のための一時金および顔認証付カードリーダー増設支援の期間をそれぞれ1か月延長し、令和6年8月までとすることを再周知した。また、電子処方箋に係る導入補助として、「支払基金からの補助金」と「都道府県からの助成金」を併せて受給することが可能であることを示した。

マイナ保険証利用促進のための「一時金」に関しては、当初、令和6年5月から7月までのいずれかの月のマイナ保険証利用人数について、令和5年10月実績および同月の利用人数からの増加量に応じて支給することとしていた。

今回、医療機関でのマイナ保険証利用をさらに推進する目的で、その期間を1か月間延長した(下図)。

次の支給要件について変更はなく、医療機関等からの申請も不要のままとなっている。金額についても変更はない(診療所・薬局:最大20万円、病院:最大40万円)。

  • 窓口での共通ポスターの掲示

  • 来院患者への声かけ・マイナ保険証の利用を求めるチラシの配布徹底

共通ポスター、チラシ

カードリーダーに係る補助金の申請期限は令和7年1月15日まで

顔認証付カードリーダーの増設支援については、令和5年10月から令和6年7月までのいずれかの月のマイナ保険証の「月間利用件数総数500件以上」の施設に、カードリーダー1台の増設に要した費用の一部を補助することとしていた(病院は条件に応じ、最大3台までの費用の一部補助)。

令和6年12月2日から現行の保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証を原則とした受診体制に移行すること等を踏まえ、上記の対象期間を1か月延長し、令和6年8月までとした。なお、7月末の時点で上記の要件を満たす医療機関・薬局に対しては、個別にメールが送られている。

また、カードリーダーに係る補助金の申請期限は令和7年1月15日までとなっているが、カードリーダーの生産は注文から2~3か月ほどかかるため、早めの検討を促している。

電子処方箋に係る都道府県「助成金」についても周知

セミナーで厚労省は、電子処方箋について「概ね全国の医療機関・薬局に対し、2025年3月までに普及させる(医療DXの推進に関する工程表・令和5年6月2日医療DX推進本部決定)」ための取組状況についても説明した。

電子処方箋に係る診療報酬上の評価として、令和6年度診療報酬改定で「医療DX推進体制整備加算」が新設され、その施設基準の一つに、「電子処方箋を発行する体制を有していること」「電磁的記録をもって作成された処方箋を受け付ける体制を有していること」(令和7年3月まで経過措置あり)があることを紹介。令和6年10月からはマイナ保険証利用率に応じ、見直しや増点となることを再周知した。

医療DX推進体制整備加算
マイナ保険証利用率

電子処方箋に係る支払基金からの「補助金」と都道府県の「助成金」は併給可能

また、電子処方箋の導入費用の補助として、❶令和6年度も高い補助率を維持すること、❷令和5年12月に実装した「リフィル処方箋、口頭同意による重複投薬等チェック結果閲覧等の追加機能」の導入についても補助があること、❸都道府県による助成金との併給も可能であること――についても示した。

社会保険診療報酬支払基金を申請先とする「補助金」については、電子処方箋と追加機能を「同時導入」する場合、病院は405.9万円を上限に1/3の補助(上限135.3万円)、診療所は54.2万円を上限に1/2の補助(上限27.1万円)、薬局は55.3万円を上限に1/2の補助(上限27.7万円)などとなっている(上図)。

また、都道府県が導入費用を助成する「助成金」(医療提供体制推進事業費補助金)と併せて受給することで、導入費用に対する財政支援全体の割合は、最大で病院1/2、診療所・薬局(大型チェーン薬局を除く)3/4、大型チェーン薬局1/2となることが示されている。

なお、「助成金」については、18都府県(青森、秋田、山形、福島、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、富山、長野、愛知、三重、大阪、広島、山口、福岡、熊本)が予定しており、他の道府県でも、今後の実施を検討中としている。

そのほか、電子処方箋の普及拡大のための取組みとして、デジタル庁と共同で作成した「電子処方箋の導入状況に関するダッシュボード」および「電子処方箋対応医療機関・薬局のマップ」 を公表している。

電子処方箋に対応した医療機関・薬局のマップ

関連書籍

オンライン資格確認、電子処方箋、マイナ保険証、医療DX工程表等については、社会保険研究所発行『医療DXの今後に向けて 電子処方箋・オンライン資格確認Q&A(令和5年4月版)』が詳しい。

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