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令和6年度診療報酬改定「基本方針」骨子案を議論(2023年11月29日)

社会保障審議会医療保険部会は11月29日、令和6年度診療報酬改定の基本方針の骨子案を議論した。基本認識には「物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえた対応」など4項目を挙げている。

基本的視点のうち「現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」が重点課題に位置づけられた。前回、保険者側の委員は、「効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上」を重点課題に位置付けるよう主張したが、原案のままとなっている。

このほか、「地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進」と「安心・安全で質の高い医療の推進」「効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上」が基本方針にあがっている。

令和6年度診療報酬改定の基本方針(骨子案の概要)

保険者委員は安定性・持続可能性の強調を要望―医療保険部会

健保連の佐野雅宏委員は、「医療経済実態調査の結果をみると、医療機関の経営状況には格差がある」とし、診療報酬でも医療機関の経営を踏まえた判断があってしかるべきと訴えた。基本的視点の「効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上」を、重点課題に位置付けるよう要望した。

協会けんぽの北川博康委員は、「医療保険制度の持続可能性に懸念がある。国民負担率の上昇やメリハリのきいた改定で、可能な限り患者の負担増や保険料の上昇を避ける必要がある」と述べた。

日本医師会の猪口雄二委員は、「医歯薬連携」を推進する文言の追加を要望した。

診療側、働き方改革への手当ては「診療報酬で」―医療部会

社会保障審議会医療部会でも同日、令和6年度診療報酬改定の基本方針の骨子案を議論した。

保険者側の委員は前回に引き続き「効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性」を重点課題とするよう求めた。医療側の委員は、医師の働き方改革や人材確保に対する診療報酬の対応を求めた。

健保連の河本滋史委員は、「人材確保と働き方改革の推進のみ重点課題とするのは違和感がある。人材確保や働き方改革は医療機関のマネジメントで対応すべき要素が大きいと考えている。保険財政も国民負担も大変に厳しい状況にあることを踏まえると、従来にない大胆な配分の見直し、真に有効でメリハリの利いた診療報酬改定が不可欠」と述べ、効率化・適正化を重点課題とするべき考えを強調した。

日本病院会の泉委員は、「医師の働き方改革は2024年4月から必須となるが、医療機関のマネジメントだけでは無理で、診療報酬で対応しないと、医師が疲弊してしまう」と述べ、医師の働き方改革に関する記載を加えるよう求めた。

全日本病院協会の神野正博委員は、「医療費の自然増は、高額医薬品が多く出ている、輸入する材料価格の高騰、原材料価格の高騰といったところでの押し上げ効果があるのではないか。診療報酬ではぜひ、技術料や人件費といったところをみてもらえるような立てつけを求めたい」と述べた。


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