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ヘルスケア産業PFが薬価制度や保険材料制度の見直しを厚労省に要請(2023年11月30日)

医薬品・医療機器関連の労働組合で構成するヘルスケア産業プラットフォーム(篠原正人代表)は11月30日、薬価制度や保険材料制度の見直しを求める令和6年度診療報酬改定についての要請書を厚労省の内山博之医薬産業振興・医療情報審議官に提出した。

薬価制度では新薬創出等加算の充実や革新的新薬の迅速導入に向けた医薬品の多様な価値の充実、市場拡大再算定制度の抜本的見直しなどを盛り込んでいる。同日は内山審議官と水谷忠由医薬産業振興・医療情報企画課長に面会し、篠原代表から要請書が手渡された。

要請書では、「度重なる薬価や材料価格の引き下げに物価高騰の影響が加わることで、サプライチェーン全体が疲弊し、ひずみが拡大するなど、もはや現場レベルでこの課題を解決できる段階にはない。それどころか若手を中心に離職の傾向の高まりが確認されるなど、安定供給基盤、創薬基盤が失われかねない危機に直面している」と指摘し、「イノベーション創出国としての地位、さらには国民の命と健康にかかわる産業としての揺るぎない安定供給体制を取り戻すためには、今こそ、ここ数年継続してきた「社会保障
の調整弁」としての薬価制度改革や材料制度改革の在り方を見直す必要がある」と訴えた。

その上で、薬価・材料制度改革に向けた基本的な考え方として①中間改定の廃止を含めた抜本的見直し②供給不安の最中での長期収載品の自己負担の見直しへの反対③流通改善の取り組みの実効性の確保―をあげ、次期診療報酬改定に向けた薬価制度と保険医療材料制度の見直しについて要請している。

新薬創出等加算の拡充や市場拡大再算定制度の抜本的見直しを要望

薬価制度については、①特許期間の薬価維持の徹底(新薬創出等加算の拡充)②革新的新薬の迅速導入に向けた医薬品の多様な価値の充実③市場拡大再算定制度の抜本的見直し④費用対効果評価制度の見直し(価格調整範囲の拡大への反対)⑤不採算に陥らない薬価の下支えの仕組みの構築⑥人材流出や雇用への影響も考慮したジェネリック医薬品の安定供給体制の構築―を要望。

このうち、新薬創出等加算の拡充では、小児用医薬品などの医療上必要性の高い医薬品ならびにドラッグラグ・ロス解消に資する日本で早期上市した品目を現行の品目要件に追加することや、企業要件と企業指標を撤廃することを求めた。

革新的新薬の迅速導入に向けた医薬品の多様な価値の充実では、◇海外に遅れることなく日本で迅速に導入した革新的新薬の評価として、先駆加算に準じた新たな加算を設置する◇社会全体での経済損失を回避し、雇用を維持確保するとともに、医療・介護従事者の負担軽減につながる等の医薬品の価値評価(加算)を設置する◇希少疾病用医薬品などは間接比較データも加算根拠とするなど、加算評価の根拠となるデータの範囲拡充を図る―を盛り込んだ。

篠原代表(左から3人目)から要請書を受け取る内山審議官(同4人目)と水谷課長(同5人目)

市場拡大再算定制度の抜本的見直しでは、「効能追加があったり収載後に新たなエビデンスが確認されたりした場合には引き下げ率を緩和することでイノベーションを評価する」「市場拡大再算定の類似薬への適用(共連れ)ルールは不合理かつ予見性を損なうことから廃止する」を要望した。

一方、保険医療材料制度については、①臨時特例対応としての不採算品再算定の実施②医療材料の価格下支え制度の創設③医療機器のイノベーションの評価(省力化、医療費削減、安全性確保、希少疾患)④技術料として包括的に評価されるC2評価区分の予見性確保⑤機能区分の見直し(合理化)⑥既収載品の外国価格調整の廃止を含む制度の見直し⑦プログラム医療機器の特性を踏まえた評価方法の検討⑧プログラム医療機器の原価計算方式の見直し―を要請している。


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