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ヘルスケア産業プラットフォームが6年度予算や薬価改定に向けて要請書 調整幅の縮小的見直しは「強く反対」(2023年6月28日)

医薬品・医療機器関連の労働組合で構成するヘルスケア産業プラットフォーム(篠原正人代表)は6月28日、「令和6年度予算・税制改正及び診療報酬・薬価、材料制度改定に向けた要望と提言」と題する要請書を厚労省の城克文医薬産業振興・医療情報審議官に提出した。薬価制度改革では、中間年改定の廃止や特許期間中の新薬の価格維持などを求めている。

同日は城審議官(写真右)と安藤公一医薬産業振興・医療情報企画課長に面会し、篠原代表(写真左)から要請書が手渡された=2023年6月28日

要請書では、「我が国の医薬品産業においては、未だに安定供給を取り戻すことができておらず、大きな混乱が継続している」と指摘し、「本来当たり前であるはずの安定供給を取り戻し、かつ科学技術立国の再興、すなわち創薬国としての地位を取り戻すためには、ヘルスケア産業を成長産業・基幹産業に位置付け、医薬品や医療材料の価格引き下げに依存した医療費抑制策の見直しが急務である」と訴えた。
その上で、

  1. 薬価制度・流通制度改革

  2. 医療機器・保険医療材料制度改革

  3. 革新的な医薬品や医療機器等を生み出す環境整備

  4. 品質の高い医薬品・医療材料等の安定供給を実現する環境整備

  5. 医薬品や医療機器等の適正使用並びにコンプライアンスの推進

  6. ジェネリック医薬品

  7. OTC・セルフメディケーション

――の7項目について要望・提言を盛り込んでいる。

薬価制度改革では、中間年改定については「従来の2年に1度の薬価改定とするよう、中間年改定の及ぼす影響を調査した上で、廃止に向けた検討の開始をお願いする」とした。

特許期間中の新薬については、ドラッグラグ/ロスを防ぎ、革新的新薬へのアクセスを確保するためにも、「特許期間中の薬価水準を維持する制度設計の徹底」を要請。市場拡大再算定及び類似薬への適用ルールの抜本的見直しも求めた。

流通制度改革では、調整幅について「医薬品の安定供給を大きく毀損することから、調整幅の縮小的見直しは強く反対する」と強調。
流通改善ガイドラインについては「過大な値引きや不当な返品要求などの不公正な取引慣行を是正するために、流通当事者の認識を高めるのみならず、独占禁止法上の規制の対象となる禁止行為を明示する」など実効性の確保を求めた。

一方、課題となっている安定供給を実現する環境整備については、

  • 原材料価格及び輸送コストの増加への支援

  • 原薬や原材料等の国内生産回帰の推進

  • 生産・出荷状況を一元管理するデータベースの構築

  • パンデミックや災害をも想定した備蓄体制の構築と支援

  • 原薬・受託製造における品質管理等業務に従事する人材育成及び確保支援

  • GMP査察の実効性と効率性確保を目的とした設備投資への支援

――などを要望している。

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